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県民環境委員会審査状況(令和7年6月30日)

ページID:0605644 掲載日:2025年9月16日更新 印刷ページ表示

県民環境委員会

委員会

日時 令和7年6月30日(月曜日) 午後0時58分~
会場 第6委員会室
出席者
 鳴海やすひろ、柳沢英希 正副委員長
 神戸洋美、石井芳樹、山本浩史、成田 修、佐藤英俊、
 村瀬正臣、高木ひろし、福田喜夫、永田敦史 各委員
 環境局長、同技監、環境政策部長、地球温暖化対策監、資源循環推進監、関係各課長等

県民環境委員会の審査風景画像
委員会審査風景

付託案件等

議案

なし

閉会中継続調査申出案件
  1. 文化芸術の振興及び文化財の保護について
  2. 青少年の健全育成及び県民・NPOとの協働の推進について
  3. 男女共同参画社会の形成の促進について
  4. 生活環境及び自然環境の保全について
  5. 地球温暖化対策について
  6. 県民文化局及び環境局の行政運営について

会議の概要

  1. 開会
  2. 一般質問
  3. 閉会中継続調査申出案件の決定
  4. 閉会中の委員会活動について
  5. 閉 会
主な質疑
一般質問​

【委員】
 それでは、私からは、愛知県におけるPPA事業について聞きたい。
 PPAを説明すると、パワーのP、電力、そしてパーチェスのP、購入する、アグリーメントのA、契約の略でPPAというが、電力購入契約、あるいは電力販売契約と言われていて、事業者が施設の屋根や土地を借りて太陽光発電設備を設置して、発電した再生可能エネルギーの電気を施設所有者に販売することである。施設所有者は、太陽光発電設備の導入の初期費用を負担することなく、使用する電気を再生可能エネルギー電気に変えて、自ら排出する温室効果ガスを削減することができる仕組みである。施設所有者とPPA事業者それぞれにメリットがあり、再生可能エネルギーの導入促進に向けた方策として、社会的には期待されているものだと承知している。
 愛知県としては、愛知県庁の環境保全のための行動計画であるあいちエコスタンダードで、県の事務事業に伴い発生する温室効果ガスの排出量の削減目標、事業所としての愛知県庁として削減目標を掲げており、その削減取組の強化を行う中で、県有施設や県有地への太陽光発電設備の積極的な導入を促進するために、PPA事業を開始した。
 愛知県では、まずは西尾市の矢作川浄化センターで先行的にPPA事業を導入した。その後、計画的にPPA事業を進めるよう2023年度に実現可能性調査を実施した。まず、PPAによる太陽光発電設備の導入希望を県庁内各課に照会し、希望があった18施設の中から、設置環境、条件、電気料金などを検討した結果、3施設に関して、今後、PPAの実施可否を見極めた上でPPA事業者の公募を行い、太陽光発電設備の導入を進めるとした。その後も、県有施設や県有地での導入を拡大するため、2024年度には再度県庁内で募集をかけた。
 そこで幾つか伺うが、まずは先行実施をしている矢作川浄化センターでのPPA事業者や発電量などの事業概要や進捗状況をはじめ、2023年度に選定した3施設の状況、そして昨年度行った調査について、愛知県で実施しているPPA事業の現状について答えてほしい。
【理事者】
 まず、矢作川浄化センターのPPAによる太陽光発電設備導入事業については、2022年度に国の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金について、環境局が交付金事業計画を取りまとめ提出し、その後も環境省と建設局との調整等において連携、協力してきた。
 本年3月には、建設局において、企画提案の公募により選定された関西電力株式会社とPPA事業に係る基本協定を締結した。
 事業者の提案内容としては、太陽光発電設備の出力は3,444キロワット、発電量は年間約556万キロワットアワーであり、矢作川浄化センターの年間消費電力量の約14パーセントに相当し、これは一般家庭でいうと約1,400世帯分に当たるものである。また、温室効果ガス排出量の削減は、年間約2,500トンCO2である。
 今年度から来年度にかけて、PPA事業者による発電設備の設置が行われ、2027年度中の供用開始から20年間、矢作川浄化センターへ電力が供給される予定である。
 次に、2023年度にPPAの実施可能性調査を行い、PPA電気料金がCO2フリー電気料金を下回る、または同水準との結果となった施設については、施設の置かれている状況に応じて、所管課室とともに、設置計画の作成に向けての調査や利用できる補助金の調査、また、情報収集等、さらなる調整、検討を継続している。
 また、昨年度に行った実施可能性調査では、PPA電気料金がCO2フリー電気料金を下回る、または同水準となった施設はなかった。
【委員】
 先行する矢作川浄化センターについては、関西電力株式会社と契約を結んだことは分かった。2023年度の3施設も、2023年度に決まって、2024年度で、もう進んでいくのかと思ったが、まだ進んでいないとは言わないが、思ったより時間がかかるものだと思っている。
 驚いたのは、2024年度の調査で県所有施設や、県有地がごまんとある中で、ゼロという答えだったことである。ゼロがいけないのではないが、PPAをやるのに県有施設はなかなかなじみがないことを改めて感じている。もちろん電気代が高くなってまでやるものではないと思うので、そういった答えも一つの事実だし、難しさを感じている。
 そこで改めて伺うが、愛知県におけるPPA事業を今後導入拡大していく上で、現状、何がボトルネックになっているのか、課題は何か。そして、当初は継続的にPPA事業を拡大していく構想だったと思うが、現状を踏まえて、今後、愛知県におけるPPA事業をどのようにしていくつもりか聞きたい。
【理事者】
 PPA事業については、PPA事業者が太陽光発電設備の設置や維持管理に係る費用等について、需要家から電気料金で回収する事業である。
 PPA事業では、大規模な太陽光発電設備が設置でき、発電された電気を無駄なく消費することで事業採算性がよくなっていくが、調査の結果、設置可能面積や施設の耐荷重等における課題、また、比較的電気使用量が多くないことなどから、県有施設では条件に合致する施設が少ないことが分かってきた。
 さらに、実施可能性がある施設についても、実際の太陽光発電設備の設置検討に当たっては、各施設の詳細な状況を踏まえた設置計画や維持管理計画の検討や併せて施設管理者側の理解等も必要となっている。
 今後の取組としては、これらの施設について、各施設の状況に合わせて、一つ一つ丁寧に検討、調整を進めていくとともに、その他、太陽光発電設備の整備を検討する施設管理者側に対して、事業が成立するための施設規模など、これまでに得られたPPA事業に係る知見について周知や助言をしていきたい。
【委員】
 愛知県の県有施設や県有地に関しては合致する施設が少ないという答えが先ほどと同じようにあった。要するに、この事業は太陽光で発電して、それをほぼ同じか、若干内数の消費がないともったいないこともあるし、そうでないと電気代が高くなってしまう。電気代が高くなる、あるいは発電した電気を使わないことはやっぱりもったいないことだから、県有施設に合わない。どちらかというと24時間とは言わないが、常に大量の電力を消費する工場とかがきっと合うのだろう。先ほどの矢作川浄化センターは14パーセントだったが、全体の14パーセントぐらいだと導入に適しており、そうした施設が愛知県には少ないと感じた。
 PPAを導入することが目的ではないので、例えば再生可能エネルギーが増えてCO2を削減しても、電気料金が高くなるようであれば、この事業はそんなに行うべきではないとは言わないが、意味が薄くなってくると思う。だから、PPAで大事なところは、できるだけ現状の状態を維持しながら、電気代も上がらずに、結果的にCO2削減が図れるのがよいと思っている。それが難しいということであるので、県が悪いということではない。それが分かったことだけでも意義があると思っているので、今後、柔軟に対応してもらえたらと思っている。
 切り分けなければいけないのが、事業所としての愛知県におけるPPA事業を拡大していくことはその効果や課題から難しいと感じているが、PPA事業そのものは、今まで再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)から脱却を余儀なくされる発電事業者と温室効果ガス削減や脱炭素を求められ、再生可能エネルギーを必要とする企業とを結びつけるのがPPAモデルなので、繰り返しになるが、愛知県としてはやらないとしても、社会としては、これからPPA事業は意味がある重要なスキームだと思っている。愛知県としては、事業所としての側面と、政策的に社会全体にPPAを広めていく責任、普及拡大の役割も有していると思う。
 そこで伺いたいが、太陽光発電といえば、最近で言うと、ペロブスカイト太陽電池、どこでも発電できる、貼るだけ発電シートといわれる次世代の軽くて薄い太陽光パネルのことであるが、これが期待される。
 矢作川浄化センターでのPPA事業の事業者について、先ほど関西電力株式会社という答えがあった。所管事項説明でも説明があったが、愛知県が今、ペロブスカイト太陽電池の普及拡大を図るよう、5月30日に設立したあいちペロブスカイト太陽電池推進協議会の構成メンバーを見ると、関西電力株式会社が入っている。関西電力株式会社の主な役割は、PPA事業によるペロブスカイト太陽電池の普及拡大に向けた各種検討とされているが、愛知県が行うPPA事業とペロブスカイト太陽電池推進協議会との関係性について、どのように考えているのか聞きたい。
【理事者】
 ペロブスカイト太陽電池普及拡大プロジェクトの提案企業である関西電力株式会社は、このプロジェクトにおいて、全国でのPPA事業や太陽光発電設備の導入を通じて得た顧客の声やノウハウを生かして、ペロブスカイト太陽電池に関連する幅広い課題解決を目指して、議論、検討に努めていくとしている。
 同プロジェクトでは、まず、県有施設等への実証導入や導入可能性を検討するポテンシャル調査を実施するので、いろいろな経験を持つ関西電力株式会社等の知見が生かされるものと考えている。
 PPA事業は、一般的には技術的に確立し、事業採算性が見込める太陽光発電設備を普及させるための方策であるのに対し、ペロブスカイト太陽電池については、現在開発、実証段階であって、国は2040年を目途に、自立化が可能な発電コストの実現を目指しているものである。したがって、ペロブスカイト太陽電池におけるPPA事業については、このような普及拡大段階における課題と考えているので、今後の検討としていきたい。
【委員】
 最後に要望する。
 当初、愛知県がやるPPAと、このペロブスカイト太陽電池推進協議会は、リンクすると勝手に思っていたが、今の答弁を聞くと、PPAはどちらかというと目の前の短期的な話で、ペロブスカイト太陽電池は十数年先のものになってくる。これはたまたま関西電力株式会社というキーワードがかぶっているから、何か一緒なのかと思ったが、そうではなくて、時間軸がずれていて、それぞれ違うものと感じている。
 一方、あいちペロブスカイト太陽電池推進協議会が関西電力株式会社と実施するPPA事業における各種検討は、今答えがあったが、これまでの関西電力株式会社が得た知見を今回の様々な課題解決に利用していくものであることも分かった。
 ペロブスカイトは次世代の新しい技術である。PPA事業において、長期的に考えれば、国内で注目されるペロブスカイト太陽電池との融合は、必要不可欠だと思う。プロジェクトでは、まず県有施設、その後、市町村、民間の施設において実証導入を進めて、課題の洗い出しや解決策の検討を行うということであるが、ぜひ脱炭素や温室効果ガスの削減と先端技術の融合を示してもらえたらと思うし、本県の取組や経験を通じて、愛知県だけではなく、全国にPPA事業とペロブスカイト太陽電池導入のモデルスキームを横展開してもらい、社会実装につなげていくことを期待して質問を終わる。
【委員】
 私からは3問質問する。
 今、話にあった、ペロブスカイト太陽電池普及拡大プロジェクトについてまず伺う。協議会を設立して、第1回の会議が開催されているが、今後の取組について伺う。今年度、具体的にどのような取組を行うのか、また、中長期的な視点からどのように取り組んでいくのか伺う。

あいちペロブスカイト太陽電池推進協議会第1回会議
 あいちペロブスカイト太陽電池推進協議会第1回会議

【理事者】
 あいちペロブスカイト太陽電池推進協議会については、先日の5月30日に、建材メーカーや建設業者、太陽光発電の施工・メンテナンス業者、また、利用企業、市町村等の86機関という多数の団体により立ち上げを行ったところであって、今後、これらの構成員とともに、ペロブスカイト太陽電池の導入可能性や導入拡大に当たっての課題、その解決策等について意見を交わしつつ、取組を進めていく。
 今年度は、本地域におけるペロブスカイト太陽電池の導入可能性を明らかにし、企業等による将来の見通しを立てやすくするよう、導入ポテンシャル調査を実施する。
 また、県有施設において、ペロブスカイト太陽電池の実証導入を開始して、モデルケースを作っていきたい。
 さらに、今後、市町村の公共施設や民間施設についても実証導入が広げられるよう、実証導入を希望する施設の募集を行い、また、それら施設の予備調査を行う。
 本プロジェクトについては、4年間程度を目途としていて、来年度以降は県有施設以外の市町村、民間施設についても実証導入を広げていくとともに、建築物以外で公用車等にも実証導入を広げ、ペロブスカイト太陽電池の社会実装を速やかに実現できるように取組を進めていきたい。
【委員】
 次に、あいち環境イノベーションプロジェクトについて伺う。
 今年度も新たな革新的プロジェクトを創出するため、全国のスタートアップなどからの革新的な技術、アイデアを募集しているところである。これまでの取組及び今後の取組について伺う。
 昨年度、八つの革新的プロジェクトを採択し、社会実装に向けた支援を行っているが、これまでのプロジェクトの進捗状況と今後の見込みについて伺う。
【理事者】
 八つの採択プロジェクトについては、昨年9月から、地元企業とのマッチングなどの伴走支援を開始し、社会実装に向けた取組を推進している。
 例えば、県民の環境行動に伴う二酸化炭素削減量を見える化するプロジェクトについては、徒歩、自転車通勤への切替えなどに伴う個人のCO2削減量をスマートフォンアプリで計測し、その削減量に応じて様々な特典と交換できる取組を脱炭素エキデン愛知と銘打って、本年4月28日から本格スタートしている。本日6月30日現在で1,800人を超える人々に参加してもらっていて、去る6月22日は、参加者が二酸化炭素削減により、ためたポイントを景品と交換するイベントを名古屋市栄のオアシス21で開催した。
 また、花や野菜のくずなどの植物廃棄物のみを原料として建材や家具を製造するプロジェクトについては、6月25日から7月1日まで、松坂屋名古屋店において、植物廃棄物由来の花瓶やテーブルを展示し、来場者に実際に見て触れてもらっている。
 ほかのプロジェクトについても、地元企業等に協力してもらいながら、プロジェクトの課題を整理、解決するための実証実験の実施に向けて、関係者と調整している。
 今後、採択プロジェクトの社会実装に向けて、2027年3月まで伴走支援を継続し、地域一体となって事業化に取り組む。
【委員】
 二つ目として、本年1月にあいち環境イノベーションコンソーシアムを設立したが、当プロジェクトにおけるコンソーシアムの役割はどのようになっているか。
【理事者】
 あいち環境イノベーションコンソーシアムは、当地域が一体となって、環境分野のイノベーションを創出、実装することを目的として、本年1月、企業、大学、金融機関、行政機関、採択スタートアップなど、51団体で発足した。その後、新たに企業3社が加わり、現在54団体で構成している。
 このコンソーシアムにおいては、企業の技術力や大学の研究力、金融機関のファイナンス支援、行政機関の政策支援、スタートアップの迅速な実行力などを組み合わせる連携、協働のプラットフォームとして役割を担っている。
 今年度は、こうしたコンソーシアムの機能を活用しながら取組を進めていて、6月27日にはコンソーシアム会員の環境課題やニーズを発表するリバースピッチイベントを開催して、スタートアップとのネットワーク形成を図った。
 今後は、コンソーシアム会員が持つフィールドを採択スタートアップ等に提供して、プロジェクトの社会実装に向けた実証実験を実施するほか、来年1月頃をめどに、コンソーシアム関係者が一堂に会する交流会を開催する予定である。
【委員】
 現在、六つのテーマの中から4件新規プロジェクトを採択するよう、募集を行っているが、今後のスケジュールはどのようになっているか。
【理事者】
 今年度も5月27日から7月25日まで、エネルギーの創出・利用モデル、温室効果ガスの吸収・利用等によるカーボンリサイクルモデルなどの六つのテーマについて、全国のスタートアップ等から革新的な技術、アイデアを募集している。
 6月上旬から下旬にかけては、ウェブやSTATION Aiにおいて、公募説明会を開催するとともに、東京都や名古屋市で開催された企業展示会などで応募勧誘を行うなど、様々なイベントを通じ、全国のスタートアップ等に対して幅広く応募を働きかけている。
 今後は、8月にスタートアップ支援に精通した専門家や学識経験者等で構成される審査委員会において応募内容を審査して、9月をめどに新規プロジェクトの採択を行う予定である。
 採択した新たなプロジェクトについては、2028年3月までの約2年半の間、地元企業とのマッチングや実証フィールドの提供、紹介などの伴走支援を実施する予定である。
 今後も環境課題の解決に向けて、従来の延長線上にない環境イノベーションの創出を目指していく。
【委員】
 では、三つ目の質問をさせてもらう。
 市町村が指定するクーリングシェルターについて伺う。
 気候変動適応法に基づき、市町村はクーリングシェルターを指定し、熱中症特別警戒アラートが発表された際には開放することとなったが、県内市町村及び県の取組について伺う。
 まず1個目として、県内市町村におけるクーリングシェルターの現状の設置状況はいかがか。
【理事者】
 現在、県内54市町村のうち51市町村において、市町村の庁舎や図書館、公民館などの公共施設約900施設のほか、郵便局やショッピングセンターなどの民間施設約700施設の合計で約1,600施設がクーリングシェルターに指定されている。
【委員】
 県においては、クーリングシェルター指定施設管理者向けの研修の実施やクーリングシェルターの啓発用の、我々もよく使うのぼりやポスターを製作して配布しているが、既に梅雨が明け、猛暑の夏を迎えるにあたり、県内のクーリングシェルターの適切な支援に向けて、どのように運用する予定か。
【理事者】
 県では、クーリングシェルターの指定制度が始まった昨年度から、市町村に対し様々な支援を行ってきた。まず、指定制度について理解を深めてもらうため、昨年度から市町村の担当者を対象とした研修会を開催した。また、今年度から新たにクーリングシェルターの管理者を対象とした研修会を開催した。
 さらに、県民にクーリングシェルターの場所や役割について知ってもらうため、県独自の熱中症対策啓発キャラクターであるすずみーながデザインされた県内統一ののぼり旗やポスターを作成して、今月からクーリングシェルターに配布している。引き続き、このキャラクターを活用し、今後は市町村や商業施設のイベント等において、クーリングシェルターの認知度向上に努めていきたい。
 県としては、こういった支援を通じて、市町村が適切に指定を進め、県民の皆様が必要に応じてクーリングシェルターを利用してもらえるよう取り組む。

クーリングシェルター啓発ポスター「すずみーなを」使用したポスター

県独自の熱中症対策啓発キャラクター
「すずみーな」を使用したポスター

【委員】
 では、私からペロブスカイト太陽電池普及拡大プロジェクトについて要望する。
 政府はエネルギー基本計画で示す電力構成を、2023年度実績で22.9パーセントであったものが、次期計画においては、再生可能エネルギー比率を4割から5割に伸ばすことを目標としていることは周知の事実である。
 また、本日の日本経済新聞朝刊によると、事業者の太陽光発電設備の設置目標が来年度から義務化されると掲載されていた。工場や店の1万2,000事業者が対象になるという公表である。
 ここで大切なことは、現在の太陽光パネルは残念ながら全て外国製品であり、エネルギー政策の要であるべき太陽光発電の重要部品である太陽光パネルやインバーターを海外からの輸入に依存していることである。
 そんな中、今回取り上げられているペロブスカイト太陽電池の主材料であるヨウ素は、日本国内で豊富に生産可能な資源であり、世界の生産量の約30パーセントになっている。これは、チリに次ぐ世界第2位となっている資源である。国内で安定的に生産できるヨウ素を主原料としているので、輸入に頼る必要がないと理解している。その結果、ペロブスカイト太陽電池の生産においては、世界情勢、いわゆる地政学的リスクの影響を受けずに安定した価格で材料が調達できると私は解している。
 また、製品が軽量で約10分の1の重量であり、設置場所の制限が非常に少ない製品である。この製品を使うことによって、再生可能エネルギーの普及が大きく促進されることが期待される一方で、私の経験を言うと、これまで日本は、家電製品、半導体、リチウムイオンバッテリーなどの製品で、成熟期以降で海外メーカーとの価格競争力に競い負け、多くの企業が撤退を余儀なくされた苦い経験を持っている。皆さんも体験していると思う。ある会社のパネルが、海外の国のパネル会社になるなど、我々はいろいろな経験を重ねている。
 海外に目を向けると、近年においては、EV戦略の失敗により、多くの自動車メーカーが人員削減を発表している。また、国内においては、リチウムイオンバッテリーの唯一の生産会社であるパナソニックグループでさえ、2万人の人員削減を発表した。
 私自身も3度の製品に関する撤退、生産調整を経験している。一つ目が市販ナビの撤退、二つ目が携帯事業におけるNTTドコモ、FOMAからの撤退、そして最後にルネサス・ショック、いわゆる2011年を契機にした半導体不足によるOEMナビの生産遅延による生産調整を余儀なくされた経験を持っている。
 このように、生産戦略が上振れすれば、雇用の創出につながる。また、この失敗は、人員の削減を伴うことを実際に我々は既に体験している。近年、私の出身母体では、内燃機分野における1万数千人がパワーシフトを余儀なくされた。
 それを踏まえて、今回の製品は、国家のエネルギー政策に関わる非常に重要な開発であるとともに、成功は、先ほど言ったような雇用の創出に直接結びつく大切な開発である。そして、逆に言えば、これが万が一失敗すると、数十兆円レベルの生産が海外移転してしまう可能性を秘めている。
 先ほど、4年間と話があったが、私は残念だと考えている。今回の予算で2,742万1,000円、これが正しいか正しくないかはさておいて、4年という緩い計画では、私はちょっと遅過ぎると、非常に危惧を持った。官民一体となったプロジェクトが成功するためには、メーカーにいた経験上、世界戦略においては1件80万円と言われる、特許がまさに生命線であると私は理解している。特許出願関係の費用を補助するなど、サポートが重要である。国に強く働きかけるとともに、県の補助についてもいろいろなフィールド実験で取り上げてもらっているが、株式会社アイシンや関西電力株式会社、中部電力株式会社はいい。そうではなくて、今裾野に結びついている何十社という企業については、特許の出願が大変である。人もいない、お金もない。人はさておいて、お金についてしっかりと補助することによって、この製品開発を成功に導いてほしい。
 例えば、鉛を使っているとして、鉛を使わない技術に対して、大学に働きかけてもらって一緒に取り組む。官民一体なので、県がいろんな分野に働きかけて、ぜひともこれを成功させてほしい。何十兆円が海外移転することによって、雇用の創出ではなくて、削減に結びつけてほしくない。私は幸運なことに削減されたのではなく、自分で退職して今の職場を得たが、多くの仲間たち、1万数千人の人々は、パワーシフトという名の下に、ほかの事業に、経験のない分野に在籍している。だから、そういった苦い経験を一体となって回避できるような政策に、4年ではなくて、1年、2年という短期で結びつけてもらいたいと私は強く願い、発言を閉じる。
【委員】
 私からは、身近な話題になるが、資源循環の取組について伺う。
 ごみといえば、資源ごみという表現と、可燃ごみ、不燃ごみが最初はあったと思う。また、そのような中で、徐々に分別が進んできて、例えばアルミ缶、スチール缶、紙でも普通の新聞紙、雑誌、金属で留めてあるものだとか、段ボールもそうだが、年々分別が進んできている。
 私の地元でも平成11年、みよし市、東郷町、日進市をエリアとする尾三衛生組合の東郷美化センターの取組と一緒に各自治体が分別を始めた。瓶でも最初は何でもいいといっていたのが、色分けしてとか、缶もアルミ、スチールに分別するようになってきたし、そのようなことを徐々にやってきた経緯の中で、県内全体を見渡してみると、各議員の地元もそうであるが、基本の法律は決まっているものの、それぞれの美化センター、それぞれの自治体の方針で、取り組んでいるのが実態である。
 そのような中で、最終処分地があった時代は何でもいいとどんどん埋めていた。私の地域でも、いわゆるため池の利用、活用のないところにシートを張って、そこへ最終処分の灰や、いろんなものを尾三衛生組合からも入れていって、埋めるところがなくなってきた状況の中で、県も海の最終処分場があると思うが、いよいよ資源循環に取り組まないといけないという機運が高まってきた。
 先ほど言った、紙、プラスチック、ガラスなど、いろいろある。ガラスでもいろんなガラスがあって、当時はちょっと割れていたらもう駄目だという表現をしながら、集められなかった時代があった。何で駄目なのかと、人がさばいてやっているのだが、最終的には、それも施設が変わると変わってくる。
 そのような中で、いろいろ見てみると、県内統一的にやれることがないかと思った。そのような中で、最近ニュースになってきたのは持続可能な航空燃料(SAF)。これは廃食用油、いわゆる天ぷら油の使ったものを航空燃料にしようとか、バイオディーゼル燃料に使おうとか、いろいろな取組がある。ちょっと調べてみたら、知多地域では、中部国際空港があるものだから、航空会社が始めることに対して、自治体が協力していこうという機運があって進めている。名古屋市はバイオディーゼルへどんどんシフトしていることもある。ただ、食用の油といっても動物油もあるし、植物油もあるとか、いろいろまた分別的には難しい話になってくるが、何とか廃食用油を家庭から出るもの、飲食店から出るものを回収できる仕組みを県内で何とか一つできないか、そういった改めて資源循環につながる取組ができないかということで質問する。
 最初に、家庭から出される廃食用油の市町村の回収の実態である。各自治体でやっているが、例えば私の住む東郷町であれば、家庭から持ってきて、ドラム缶にろ過するものがあり、そこに全部入れているところもあるし、県内を見てみると、ペットボトルに入れて持ってきてほしいというところもある。各実情があるが、回収している自治体、いない自治体の実態をまず教えてほしい。
【理事者】
 家庭から出される廃食用油は、まず住民がペットボトル等に入れ、それを市町村の回収拠点であるリサイクルセンターやスーパーマーケットなどの協力店舗などに持ち込むことにより回収されている。県が毎年度実施する市町村を対象とした一般廃棄物の実態調査によると、2023年度は54市町村のうち32市町村で、計263トンの廃食用油が回収、再資源化されている。
【委員】
 54市町村のうちの32しかという表現がいいのか、32も行っているという表現がいいのか分からないが、この263トンという数字は非常に大きい数字だと感じている。
 これをいかに有効にしていくか、それぞれ先ほど言った取組があると思う。各市町村では、この廃食用油の回収や資源化のためにどんな取組をしているのか伺う。
【理事者】
 市町村が回収した廃食用油は、ほとんどが入札等により売却されていて、自動車の燃料や工業用オイルに使用されるバイオディーゼル燃料(BDF)、または家畜飼料の原料などで利活用されている。
 名古屋市においては、市内のスーパーマーケットの協力を得て、70店舗以上の回収拠点を設置し、住民にとって回収しやすい体制を整備している。
 豊橋市においては、回収した廃食用油から精製したBDFを5パーセント以下の割合で混合した軽油、B5軽油というが、そのB5軽油をごみ収集車などの市の公用車に導入することとして、2025年5月から順次切り替えている。
 また、常滑市、大府市、知多市、弥富市、大治町、阿久比町、東浦町の7市町は、中部国際空港などと連携し、廃食用油をSAFとして循環させる取組を進めている。
【委員】
 実は今回、SAFで質問しようと思ったが、令和7年2月定例議会の連合審査会で、経済労働委員会へ所管が移り、SAFには特化できなくなったので、その元の廃食用油について質問している。
 各自治体が工夫してやっていると思うが、263トンという数字は家庭から回収されるものだけなのか。それ以外の飲食店から出るものがもっとあると思う。そういったものの資源循環が進むように、私はもっと県がリードすべきと思っている。先ほど言ったように、各自治体は自治体の事情の中で行っているが、愛知県として方針をぜひ示してもらいたいが、県はどのように取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
 先ほどの263トンは、家庭から出る一般廃棄物で集めた廃油である。それ以外に産業廃棄物、レストランから出るような産業廃棄物の油もあると認識している。
 県では、家庭から出されるごみのうち、廃食用油を含めて、資源化できるものは、循環利用が進むように、市町村に対し、研修や会議などを通じて情報提供を行っている。
 廃食用油については、多くの市町村で回収されているが、まだまだ回収できていない廃食用油は多いと思われる。一方、市町村にとって、新たに回収を始めることや回収の拠点、回数を増やすことは、新たな負担が生じることになる。
 このため、先ほどのような企業、店舗と市町村が連携した独自の取組を進めている事例なども見られることから、こうした好事例を市町村に周知し、廃食用油の回収がより進むように促していく。
 SAFという新しい需要も今後さらに増えていくと思われ、これをきっかけに、SAFやBDFも含めた廃食用油の資源循環が進むよう市町村を支援していきたい。
【委員】
 最後に要望する。
 廃食用油の資源循環は、実はカーボンニュートラルに一番つながると思う。SAFの関係でいけば、航空燃料に使えば、やはりCO2が削減される。これは明らかな話で、世界の潮流でもあるので、ぜひこの廃食用油の資源循環が進むように、県が市町村を積極的に支援して、県民一人一人がそのような意識につながるように、あらゆる場所、あらゆる時を通じながら、展開してもらうように要望して終わる。
【委員】
 それでは、私から二点伺う。
 まずは、有機フッ素化合物(PFAS)の問題である。
 私は当委員会に昨年も所属し、年間を通して何回か尋ねてきた。そして、昨年は、環境省の全国調査が大きな話題を呼んで、NHKがこれを取り上げたことをきっかけにして、非常に一般の関心が高まった。本県議会でも令和5年12月定例議会で、PFAS対策を国において強化することについて意見書が提出された。
 今日は新しい年度に入って、PFASをめぐる動きについて総括的にまずは伺う。
 国においては中央環境審議会において検討が行われてきて、暫定指針値に関わる国の最近の動きについて、5月頃に動きがあったと聞いているが、どのように県として承知しているのか教えてほしい。
【理事者】
 環境省では2023年1月から、PFOS・PFOAに係る水質の目標値等の専門家会議において、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)の暫定指針値の取扱いについて検討を行っている。
 その後、2024年6月に内閣府食品安全委員会からPFOS、PFOAについて、ヒトが一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量である耐容一日摂取量が設定されている。
 その後、2回専門家会議が行われ、その結果を踏まえて中央環境審議会での審議が行われて、本年5月8日に暫定指針値を指針値とする答申がなされている。
 その指針値の値については、食品安全委員会が設定した耐容一日摂取量を基に算定すると、PFOS、PFOA、それぞれ50ナノグラムパーリットルとなるところ、暫定指針値の場合と同様に、より安全側の観点から、PFOS、PFOAの合計値として50ナノグラムパーリットルとされている。
 環境省において、この答申を受けて指針値の設定等について近日中に各都道府県等宛て通知する予定と聞いている。
【委員】
 暫定が取れて指針値になった。また、PFOA、PFOSのそれぞれの基準値だったところ、合計してパーリットルで50という数字が示されたことは、全体として監視の目を厳しく設定する方向で国も動いていると承知した。
 次に、本年も4月25日に令和5年度の公共用水域の水質測定結果と地下水質測定結果を国がまとめて公表している。この中で、県内の地点における両物質の検出結果、暫定指針値を超過した地点における対応などについて聞きたい。
【理事者】
 本県では、水質汚濁防止法の規定により策定した水質測定計画に基づいて、2021年度から県内の公共用水域及び地下水におけるPFOS及びPFOAの存在状況を把握している。
 2023年度においては、名古屋市等の政令市も含めて、公共用水域60地点、地下水35地点の合計95地点でPFOS及びPFOAの調査を実施し、河川1地点、地下水1地点の合計2地点で暫定指針値を超過した。超過したのは、公共用水域である半田市内の阿久比川半田大橋で54ナノグラムパーリットル、地下水では、春日井市内の地下水で130ナノグラムパーリットルである。
 暫定指針値を超過して検出された場合の対応としては、環境省が作成したPFOS及びPFOAに関する対応の手引きに基づいて適切に対応している。
 具体的に言うと、半田市内の阿久比川半田大橋については、県の2021年度の調査で暫定指針値を超過しており、この阿久比川には水道水源がないため、飲用による暴露防止のおそれがないことから、2022年度以降、継続して調査を行っているところであって、2023年度においても暫定指針値を超過したものである。
 春日井市の地下水については、春日井市が2022年度に水道水源井戸の一部の原水で暫定目標値を超過したため、周辺の井戸6地点の水質調査を実施し、そのうち1地点の井戸で暫定指針値を超過した。それから、春日井市は周辺の井戸所有者に対して井戸水の飲用を控えるように注意喚起するとともに、2023年度以降、周辺6地点の継続調査を実施しており、2023年度においても2022年度と同じ井戸で暫定指針値を超過したものである。
【委員】
 要注意な地点の紹介があったが、特に気になるのは春日井市である。春日井市は連続して大きく基準値を上回る検出がされていて、まずは飲料水として地下水が人体に摂取されて影響を与えるおそれがあるのかないのか。それから、もう一つは、連続して高濃度の値が出たことは、一体どこから春日井市の地下水に対して流入したのか、健康への被害の防止の話と、排出源が一体どこなのかという両面で、地元の関心が高まるのは当然だと思う。ここは県民環境委員会なので、私が昨年も言ったのは、やはり環境局としては愛知県環境調査センターという非常に優秀なスタッフと、非常に高レベルの検出の装置を持った機関を有しているので、顕著な例である春日井市における汚染の原因が何かと、汚染源は何なのか突き止めることを願ったはずだが、これについて具体的に何か進展、分かったことはないか。
【理事者】
 春日井市は、水質汚濁防止法で定める政令市であって、春日井市が調査を行うとともに、原因究明に係る対応を行っているが、聞いているところによると、初めて超過の事例が分かったときに、周囲の事業所等を確認したが、原因は不明と聞いている。
 その後、超過した地点の状況を継続して調査していると聞いている。
【委員】
 環境局として、県の専門的なスタッフ、調査・分析機能をフルに生かして、春日井市に協力して、汚染源の特定と対策を進めてもらうようにお願いする。
 次に、PFASに関して、世間の関心が高まると同時に、私のほうにもいろいろと問合せをもらっていることを一つ聞きたい。このPFOS、PFOAは、30年、40年ぐらい前に、アメリカのデュポンというメーカーが開発した。PFOA、PFOSという人為的に合成された物質には撥水性、水や油をはじく特性があるものだから、まず、デュポン社が商品化したものが、焦げつかないフライパンである。それから、撥水スプレーなどに入れるとか、PFOA、PFOSを混ぜた泡消火器は非常に消火能力が高いというところが代表的な使用方法だと伝えられている。気になるのは、どこの家庭にもあるフライパンの中で、テフロン加工されているものは焦げつかないフライパンとして大いに人気があった。フライパンに使用されるようなPFOS、PFOAは、既に発がん性物質として製造も禁止されているが、現在市中に出回っているフライパンや、撥水スプレー、生活の身の回りの品においてPFOS、PFOAの使用状況はどのように理解すればいいのか。この危険性についてはどのような認識を持って県民生活に当たればいいのか。
【理事者】
 PFOS、PFOAについては、委員も示すとおり、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、いわゆる化審法で、PFOSは2010年、PFOAは2021年に製造、輸入等が原則禁止されている。
 身の回りの製品については、環境省が2024年度に取りまとめたPFOS、PFOAに関するQ&A集があって、それによると、家庭の身の回りの製品のうち、フッ素コートされたフライパン、それからフッ素系の撥水スプレーにはPFOS及びPFOAは使用されていないとのことである。
 また、そのほかの身の回りの製品について、PFOSは製造等の禁止前を含め、日本国内で製造に使用された報告はない。それから、PFOAは、禁止前はカーペット等の繊維に一部使用されていたが、これらの製品を使用しても心配されるようなレベルのリスクはない。
【委員】
 話を聞いてやや安心したが、このPFOS、PFOAに関しては、まだ完全に危険性の範囲が確定したわけではないと思う。また、非常にたくさんの種類のあるフッ素有機物の種類の中で、PFOS、PFOAが限られた2種類なのだが、そのほかの物質が全部安全なのかというと、これも立証されているわけではなく、研究過程にあるものと理解している。
 日々、いろんなニュースに接すると、ヨーロッパでは、環境基準がどんどん厳しくなる方向である。最近の報道では、イタリアで日本企業も出資しているような会社が刑事罰を受けるような、PFOS、PFOAの漏出事例も伝わってきているので、これは今後も監視を怠らずに、最新の研究結果などにも常に注目を払って、今後もチェックを続けていきたいと思っているので、よろしくお願いする。
 それでは、もう一つのテーマに移る。リチウムイオン電池の適正処理に関してである。
 最近、これもテレビ等やマスコミ等で取り上げられて大きな話題を呼ぶようになった。市町村のごみ処理施設や、ごみ収集車のリチウムイオン電池が原因となる火災事故の発生が非常に多く伝えられている。県内の市町村における、リチウムイオン電池が原因となる火災等の発生状況はどのようになっているのだろうか。また、なぜリチウムイオン電池が原因となる火災が発生するのか説明してほしい。
【理事者】
 国の調査結果によると、リチウムイオン電池が原因とされる火災のうち、職員や消防隊が消火した火災は、全国で2023年度に8,543件発生し、2022年度の4,260件から倍増するなど、年々増加傾向にある。
 このうち本県では、2022年度に240件、2023年度に292件が発生している。このほか、出火したものの初期消火された事案や煙が発生しただけの事案などを含めると、さらに多いと考えられる。
 火災の原因についてだが、リチウムイオン電池は衝撃が加わると破損して発熱、発火する特徴があることから、ごみ収集車やごみ処理施設で圧縮、破砕されることで発火し事故につながると言われている。
 こうしたことが発生するのは、リチウムイオン電池を使用した製品かどうかが外見からは分かりにくいものも多いことから、県民が排出の際、気づかずに不燃ごみなどに混入させてしまうことも原因の一つと考えられる。
【委員】
 現在はこのリチウムイオン電池の回収処理については、一般的にどんな仕組みになっているのか。
【理事者】
 事業者による回収と市町村による回収の主に2通りの回収が行われている。
 事業者による回収としては、製品製造事業者や輸入販売事業者により構成された一般社団法人JBRCが、機器から取り外されたリチウムイオン電池について、家電量販店などの協力店で回収しリサイクルを行っている。
 また、市町村による回収は、リチウムイオン電池そのもののほか、それを使用した製品も含め、一般廃棄物として通常の回収を行っているほか、家電量販店やホームセンターなどに持ち込んでもらう方法でも回収している。
【委員】
 こうした火災事故を防ぐために、市町村ではどのような取組が行われているのか。
【理事者】
 市町村においては、住民に対し、リチウムイオン電池の危険性や廃棄時の適切な分別について周知を行っている。特に火災が発生した市町村では、被害の状況や原因となったものの写真の掲載などにより啓発を行っている。
 また、ごみ収集車両で収集するときに他のごみと区分けして積載する、作業員が手作業によりリチウムイオン電池を抜き取る、発火時に備えて収集車両に消火器を搭載するなどにより対応している。さらに、作業員により、ごみ処理する前のリチウムイオン電池等の抜き取りやごみ処理施設や保管場所に火災検知器、赤外線カメラ、スプリンクラー等を設置することなどで対応しているところもある。
 加えて、瀬戸市のように、スプレー缶の排出区分であった発火性危険物にリチウムイオン電池を含めるよう区分変更するとともに、住民の利便性も高めるために、スーパーマーケット、ホームセンター等への持込みに加え、ごみステーションの回収も実施するよう、回収体制も変更した市町村もある。
【委員】
 市町村の取組やスーパーマーケット等の事業者の取組を紹介してもらったが、県としては、この問題についてどのような取組を行っているか。
【理事者】
 リチウムイオン電池による火災事故により、ごみ処理施設が稼働停止になる事案も見られることから、県としても喫緊の課題として認識している。
 このため、市町村に対して、令和7年4月に国からリチウムイオン電池の適正処理に関する通知があったが、そうした最新情報を随時情報提供することはもとより、8月に開催する市町村向けの会議において、先ほどの瀬戸市の取組を含む市町村向けの対策事例集を紹介するなど、リチウムイオン電池の適正な処理について周知、助言を行う予定としている。
 県民向けには、ウェブページやリーフレット等の様々な媒体を通じて、リチウムイオン電池を適切に処分するよう周知啓発を行っている。なお、来月には、県環境局が発行する環境かわら版に記事を掲載する予定としている。
 国に対しては、2024年12月に都道府県、政令市、中核市で構成する全国環境衛生・廃棄物関係課長会から、業界による回収の仕組みの一層の拡充と強化や、処理施設において機械分別できる装置の開発などについて要望を行っている。
 今後も国の動向等を注視しながら、適宜、市町村への情報提供、県民への周知啓発を行うとともに、引き続き機会を捉えて国への働きかけを行っていく。
【委員】
 最後に要望する。
 この問題については、本定例議会としても、意見書を国に提出する動きにもなっているので、国への働きかけも強化してもらいたい。また、私が記事をいろいろ探していて注目したのは、リチウムイオン電池を組み込んだ製品が次から次へと出てくるので、一体どのような装置にリチウムイオン電池が内蔵されているのか、それは取り出せるのか、それとも取り出せないのか、あまりに製品の種類が多いために、しかも輸入品なども相当あるから、なかなか分別が大変だということである。これに対しては、現場の作業員が本当に手仕事で、目視でもって開けているのが現実である。これをもう少しシステマチックに分別できないのかという研究が幾つか進んでいて、二つ紹介する。IHIのグループ会社である株式会社IHI検査計測という横浜の会社はAIを使って、赤外線の透視でもっていろんなごみに交ざった中にリチウムイオン電池を含む製品らしきものを発見して、AIが判定する。これは恐らくリチウムイオン電池が含まれている、例えば携帯扇風機ではないかと赤外線の透視で見て、空港の保安検査のような装置により、AI判定で見つけ出すというものがあって、結構な効果を上げているようである。ただ、これは100パーセントではない。AIが認識した、このような製品にはリチウムイオン電池が含まれているという情報をたくさん集積して、それに当てはまる形状のものがあるかないかをAIが判定してくれるわけだから、計測チェックミスを行ってしまうことも間々あるとは聞いている。
 それと、全く別の方法として、埼玉県本庄市にあるエムケー工業株式会社という精密プレス業が開発している仕組みは、電池だから、放電をさせて発火を抑制するというものである。つまり、全部放電してしまえば、リチウムイオン電池の危険性はなくなるわけである。だから、放電を促進させて発火を抑制することを分別過程で行うという。そして、放電できない危険な電池は分別しつつ、放電を促進して無害化する装置だそうであるが、これも非常に注目されると思う。
 こうしたノウハウを持った企業が、リチウムイオン電池の処理に関する新技術を次々と開発中であるので、大いに注目して、この活用促進、普及に努力することも大事な観点であろうと思う。とにかく消防の人や、環境事業所の市町村の人にとっては、危険が身近に迫っている事案であるので、早急にこのような心配がなくなるように対策を進めることを願う。

 

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