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県民環境委員会審査状況(令和7年10月3日)

ページID:0618801 掲載日:2025年12月24日更新 印刷ページ表示

県民環境委員会

委員会

日時 令和7年10月3日(金曜日) 午後0時58分~
会場 第6委員会室
出席者
 鳴海やすひろ、柳沢英希 正副委員長
 神戸洋美、石井芳樹、山本浩史、成田 修、佐藤英俊、
 村瀬正臣、高木ひろし、福田喜夫、永田敦史 各委員
 県民文化局長、県民生活部長、学事振興監、人権推進監、 
 女性の活躍促進監、文化部長、関係各課長等​

県民環境委員会の審査風景画像
委員会審査風景

付託案件等

議案

なし

会議の概要

  1. 開会
  2. 一般質問
  3. 閉会
主な質疑
一般質問

【委員】
 児童生徒と芸術文化との関わりについて伺う。
 本年、本県では、国際芸術祭あいち2025が9月13日から始まった。今年は全国で国際芸術祭と銘打った芸術祭が多く、大阪・関西万博と連動して開催されているStudy:大阪関西国際芸術祭2025、瀬戸内国際芸術祭2025、千葉国際芸術祭2025、国際芸術祭BIWAKOビエンナーレ2025、岡山芸術交流2025、札幌国際芸術祭などが開催されている。
 芸術祭の現場では、作家が作品を作り発表するだけではなく、教育現場との連携のプログラムも数多く行われている。例えば、瀬戸内国際芸術祭では、アーティスト×中学生交流プログラムを実施している。このプログラムでは、中学生が自分たちの暮らしている地域の魅力を学ぶとともに、自ら考えて行動する経験をすることで、豊かな心や想像力を育み、人間性を磨き高める一助となることを目指し、芸術祭参加アーティストが県内の中学校等を訪れて講義やワークショップを実施している。
 また、札幌国際芸術祭では、私が興味深いと思った活動があり、子どもから大人まで、学校の先生と楽しむワークショップ、教育喫茶スチーム・スタディ・デイ・イン・スカーツ2025が開催されている。教育喫茶とは、教育に関わる先生やアーティストたちが集い、教育とアートに関する課題や可能性を話し合うコミュニティーである。これまでに実験的なプログラムをつくったり、体験したり、ディスカッションを重ねたりしてきた活動を生かし、今回、STEAM、科学、技術、工学、アート、数学を横断する学びの手法をテーマにした教育喫茶特別編を開催している。STEAMは、子どもたちの想像力や問題解決力を育むアプローチとして世界的に注目されている。科学、技術、工学、アート、数学のそれぞれのキーワードを軸に、学校の先生がプロデュースしたふだんの授業とは一味違う魅力的な講座やトークが並んでいる。
 子どもから大人まで、本県においても、過去いろいろな学校教育向けプログラムが開催されているが、本年の国際芸術祭あいち2025における児童生徒に向けたプログラムはどのようなものがあるのか伺う。
【理事者】
 これまでの芸術祭に引き続き、今回の国際芸術祭あいち2025においても、児童生徒向けの様々な取組を行っている。
 まず、小学校から大学までを対象とした学校向け団体鑑賞プログラムを今回も実施している。現在32校から申込みがあり、順次作品鑑賞ツアーを実施している。この団体鑑賞のほかにも、子ども向けの対話型鑑賞ツアーや中高生向けの作品解説ツアーも予定している。
 また、参加アーティストによる学校派遣も行っており、瀬戸市の小学校で3日間にわたりアーティスト、マユンキキ+が影絵の制作ワークショップを実施し、最終日に影絵作品の鑑賞を行っている。瀬戸市の三つの保育園と愛知県児童総合センターでも参加アーティストのソロモン・イノスによるワークショップを計10日開催し、参加した児童の作品800枚を一つの壁画作品として、現在、国際芸術祭あいち2025の会場である愛知芸術文化センターの8階で展示している。
 さらに、子どもや日本語以外の言語を母語とする人々向けにやさしい日本語で書かれたチラシを作成し、県内全小学校の児童に配布することで、子どもたちへの芸術祭の周知に取り組んでいる。

国際芸術祭あいち2025 チラシ

国際芸術祭あいち2025  チラシ

【委員】
 児童生徒だけではなく、愛知県には芸術系の大学や芸術系学部を有した大学がある。その大学生との連携はどのようになっているのか伺う。
【理事者】
 県内の大学については、直接訪問するなどして芸術祭の概要説明を行うとともに、チラシ、ポスターの配架や掲示をお願いしている。また、ボランティア募集の学生への周知も依頼している。
 さらに、芸術大学の学生を中心に、アーティストの作品制作のサポートにも参加してもらっている。また、国際芸術祭あいちが運営するアートラボあいちにおいて、芸術大学連携プロジェクトとして、国際芸術祭あいち2025の会期に合わせ、四つの芸術大学、愛知県立芸術大学、名古屋芸術大学、名古屋造形大学、名古屋学芸大学と連続個展を現在開催している。
【委員】
 国際芸術祭あいちはトリエンナーレであり、3年に1度の開催である。児童生徒も3年ごとに芸術祭に出会うので、小学生6年間で2回、中学生で1回、高校生で1回開催される。感受性豊かな12年間で4回鑑賞するチャンスがある。児童生徒、大学生との関わりの中で、たくさんのことを愛知県はやっていて、とてもよいと思う。今回の国際芸術祭あいち2025では、団体鑑賞プログラムが開催され、1日当たり、愛知芸術文化センターで平日180人、土日祝日で60人、愛知県陶磁美術館で100人を受け入れている。開催期間中、毎日実施しているのは、とてもすばらしい。鑑賞方法も、15人程度のグループに分かれて、対話型鑑賞、自由鑑賞などがある。今回、瀬戸市での開催ということもあり、土のアートプログラムを鑑賞プログラムに組み込んだことも大変工夫していると思う。たくさんの児童生徒が無料で参加できる人気が高い取組で、始まってから早々に申込受付が終了となった。
 一つ要望だが、せっかく質の高い国際的な芸術祭を自負している愛知県の芸術祭だから、できるだけたくさんの児童生徒に見てもらいたい。
 そこで、鑑賞プログラムとして、動画、デジタルなどを利用して、児童生徒が体験できる媒体があったらと思う。もちろん作品は本物を見るのが一番であるし、本物に勝るものはない。特に現代美術の作品に多いインスタレーションは、空間全体を表現する作品だから、当然その場所に身を置かなければ分からないことが多いと思うが、来られない児童生徒のために雰囲気だけでも見せることは、媒体を持つ意義があることだと思う。検討を要望する。
 最後の質問をする。児童生徒と文化芸術について、ふだんの子どもたちと芸術文化のコンテンツとの距離が遠くなっていることをとても危惧している。過去にはゆとり教育で、美術や音楽の時間が学習時間から削られた。最近では、部活動の地域展開で部活が民間に移され、美術クラブや音楽クラブが学校でできなくなることがある。地域の祭りも、コロナ禍以降、縮小や取りやめで、今の子どもたちと文化芸術は遠いような気がする。
 そこで、本県として子どもたちの生活に対し、文化芸術の振興をいかに進めているのか伺う。
【理事者】
 本県では、あいち文化芸術振興計画2027に基づいて、子どもたちが文化芸術に親しむ機会の充実に向けた様々な取組を推進している。子どもに対する具体的な取組として、愛知県美術館や愛知県陶磁美術館では、子ども鑑賞会や学校団体向け講座を開催し、児童生徒が実際に芸術作品に触れる機会を提供している。
 また、小学校、中学校、高校の教員を対象とした鑑賞学習交流会など、学校教育との連携を図りながら、文化芸術教育の充実を進めている。
 また、愛知県芸術劇場では、劇場と子ども7万人プロジェクトとして、県内の子どもたちに一度は劇場に訪れる機会を持ってもらい、質の高い芸術体験を通じて文化への関心を高めることを目指している。
 愛知県図書館においても、読書活動の推進に加え、絵本や物語を通じた芸術的感性の育成にも力を入れており、幼児・小学生向けのおはなし会の実施や、青少年に対する推薦図書の展示などを行っている。
 今後も、子どもたちが文化芸術に親しみ、豊かな人間性を育むことができるよう、関係機関と連携しながら施策の充実に努めていく。
【委員】
 様々な取組を行っていることはよく分かった。
 部活動の地域展開において、地域の民間組織を補完し、子どもたちのために何とかしようと様々な組織が出来上がろうとしている。例えばバレエ教室であれば国際的な大会で好成績を収める教室もある。既存の民間組織や、今からできる組織とも連携を深めてもらいたい。
 愛知県の中で、例えば一宮市にはこのような団体があると分かるプラットフォームや、紹介できる媒体があればと思う。子どもたちがすぐに興味のあるものに親しめ、習うことができ、感覚が開花するようなところがすぐに見つかるプラットフォームがあるとよい。要望であるが、一度検討してもらいたいので、よろしく願う。
【委員】
 愛知芸術文化センターについて伺う。
 9月24日、愛知芸術文化センターの活性化について、愛知県芸術劇場の運営等のコンセッション方式を導入するための優先交渉権者が公表された。愛知芸術文化センターの設立以来、公益財団法人愛知県文化振興事業団が愛知芸術文化センターを拠点に各種の文化事業を実施してきたが、公益財団法人愛知県文化振興事業団の設立から今日までいろいろ行ってきた中で、果たしてきた役割と評価について伺う。また、事業採算はどうだったか、併せて伺う。

愛知芸術文化センターの画像

愛知芸術文化センター

【理事者】
 公益財団法人愛知県文化振興事業団は、愛知芸術文化センターの開館と同じ1992年の設立以来、愛知県芸術劇場の三つのホールを活用して、オルガンコンサート、ダンス、演劇など、質の高い舞台芸術公演や、人材育成、普及啓発に関する事業を継続して企画実施し、県民に芸術鑑賞の機会等を提供してきた。特にダンス公演については、著名な海外カンパニーの招聘や新しい作品をプロデュースするなど、その取組は高く評価されている。
 2014年度からは愛知芸術文化センターの指定管理者となり、新たな業務としてセンター全体の施設管理業務や愛知県芸術劇場の管理運営業務を行っている。公益財団法人愛知県文化振興事業団が指定管理者となって以降、レセプショニストの配置などの劇場運営に係るサービスや舞台機構の操作など、舞台設備に係る技術支援について、劇場の利用者から評価してもらっている。
 公益財団法人愛知県文化振興事業団が実施している自主事業については、県民に廉価で質の高い芸術を鑑賞してもらう機会を提供するため、公演のチケット価格を低く設定していることから、独立採算で事業を実施することはできず、県からの指定管理料や国等からの補助金も充当して事業を実施している。
【委員】
 大変厳しい運営であったことはよく分かる。
 次に、愛知芸術文化センターの建物管理及び愛知県芸術劇場の運営について、新たな事業者と今の公益財団法人愛知県文化振興事業団はどのように役割を分担していくのか、また、全国初の劇場コンセッション事業を円滑に進めていくために、新たな事業者と公益財団法人愛知県文化振興事業団との連携について、県としてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
 新たな運営事業者には、愛知県芸術劇場の運営において集客力と収益性のある公演事業を実施し、利用者層の拡大を図るとともに、施設建物空間を有効活用するため、飲食・物販施設等のテナント誘致や、エリアマネジメントによる栄地区のブランド価値の向上や地域のにぎわい創出など、愛知芸術文化センター全体の活性化を図ることを期待している。
 公益財団法人愛知県文化振興事業団は、従来実施している普及啓発や人材養成に関する事業のほか、世界的な評価も獲得しているダンス事業など、創造性、芸術性に優れた質の高い舞台芸術公演に関する事業を引き続き実施していく。
 新たな事業者と公益財団法人愛知県文化振興事業団との連携については、愛知県芸術劇場の舞台機構の運用管理、利用者に対する舞台技術面における支援などを行う業務に関して、その一部を公益財団法人愛知県文化振興事業団が担うとしており、事業者はその業務を公益財団法人愛知県文化振興事業団に委託する。また、事業者は、公益財団法人愛知県文化振興事業団が実施する事業について、マーケティングや広報面等において連携協力するほか、公益財団法人愛知県文化振興事業団と連携協力して、国等からの助成金や企業からの協賛等、外部からの積極的な資金獲得に努めるとともに、獲得した資金の使途について、公益財団法人愛知県文化振興事業団と十分に調整を行う。
【委員】
 大変、緊密連携が求められる内容だと思うので、しっかりとコントロールできるような仕組みをつくってもらいたい。
 次に、今回のコンセッション事業において、愛知芸術文化センター内にある施設の愛知県美術館、地下1階のアートライブラリー、地下駐車場のうち、地下3階、4階部分については、運営事業者の業務内容から除くと説明を受けているが、この除外された3か所についてどのような運営形態となるのか伺う。
【理事者】
 愛知県美術館については、コンセッション事業である愛知県芸術劇場等運営等事業とは別に、地方独立行政法人制度の導入手続を進めており、2026年4月に地方独立行政法人愛知県美術館機構を設立の上、瀬戸市にある愛知県陶磁美術館と一緒に二館一体による運営を行っていく。
 なお、愛知芸術文化センター内において、8階から10階を中心に、愛知県美術館が使用するスペースについては、県から地方独立行政法人愛知県美術館機構に無償で貸与することを想定している。地下1階のアートライブラリーについては、愛知県美術館の所管として、所蔵している資料を地方独立行政法人愛知県美術館機構へ移管することを想定している。
 次に、地下駐車場について、地下3階と地下4階部分は、民間企業の株式会社東海放送会館が区分所有しているため、事業者の業務範囲からは除いている。県が所有している地下5階の部分については、県と事業者との間で貸付契約を締結し、事業者が駐車場を設置することを想定している。地下5階部分の管理運営形態については、今後事業者と県とで協議の上決めていくが、事業者には地下3階から地下5階までを株式会社東海放送会館が一体的に管理運営しているという現状を十分に把握した上で、駐車場利用者の利便性が損なわれないよう、株式会社東海放送会館と運用上の調整を含む必要な協力、連携を求めている。
【委員】
 事細かな分割と連携が必要だと思う。駐車場は、若干駐車料金が高いと思うが、愛知芸術文化センターの利用者が利用しやすいよう、いま一度検討してもらいたい。
 新たな運営事業者による維持管理、運営業務が開始されると、公益財団法人愛知県文化振興事業団の組織の見直しが必要になると思っている。業務を分担、縮小し、役割が変わるとのことであるが、新たな事業、運営事業者が行う業務と競合する業務などもあると思う。
 そこで、公益財団法人愛知県文化振興事業団存続に向けて、組織見直しについて現在どのような考えか伺う。
【理事者】
 公益財団法人愛知県文化振興事業団が設立以来築き上げてきた人材養成や普及啓発、舞台芸術公演など、実績ある事業については、新たな事業者による維持管理、運営業務が開始される2027年度以降においても引き続き実施する。
 一方、愛知芸術文化センターの建物管理や貸し館業務などの愛知県芸術劇場の運営に関する業務については、新たな運営事業者へ引き継がれるため、公益財団法人愛知県文化振興事業団の業務は全体として縮小する。
 そのため、2027年度以降における公益財団法人愛知県文化振興事業団が実施すべき業務に対応した業務の見直しについては、効率的、効果的な業務執行が図られる組織体制となるよう、公益財団法人愛知県文化振興事業団とともに検討していきたい。
【委員】
 最後に要望する。今のところ、愛知芸術文化センターの建物管理及び愛知県芸術劇場の運営について、新たな事業者が決定しても、公益財団法人愛知県文化振興事業団、地方独立行政法人愛知県美術館機構との連携協力が円滑かつ効果的に実施され、愛知県として全国初となる劇場のコンセッション事業を円滑に進めていくために、さらに公益財団法人愛知県文化振興事業団の組織見直しと強化を要望して質問を終わる。
【委員】
 今回の愛知芸術文化センターの建物管理及び愛知県芸術劇場運営のコンセッション方式に係る優先交渉権者について、9月24日、株式会社中日新聞社を代表とする、中日アライアンスグループが選定されたことが知事から発表された。これに関連して数点質問する。今回選定するときのポイントはどのような点か。
 記者発表資料を読んだところ、16年間で200億円近く、年間十数億円を県が負担して事業者が運営していくということであるが、現状幾らかかっていて、幾ら縮減されるのかを教えてもらいたい。
【理事者】
 中日アライアンスグループを優先交渉権者として選定したポイントについて、優先交渉権者の選定に当たり設置した、有識者等で構成される事業者選定委員会から提出された報告によると、中日アライアンスグループからの提案は、メディアとしての発信力を駆使したにぎわいの創出や、エリアマネジメントの視点から栄地域全体の人流の活性化に資する具体的な提案について非常に評価が高かった。また、提案書類を提出してもらった三つのグループの中で、現状分析が最も的確に行われ、実現可能性の観点からも最も説得力があったと認められており、提案に関する評価の全ての項目において3グループの中で一番高い点数を獲得している。
 次に、経費の件であるが、記者発表資料において示したとおり、県負担額の提案金額は16年間で約201億円を上限に中日アライアンスグループに支払うことになっている。現状は、公益財団法人愛知県文化振興事業団が指定管理業務を行っているが、県からの指定管理料としては、今年度だと年間約13億円の指定管理料の支出となる。
 なお、201億円の提案価格は募集の際に県が提示した額と同じ額となっているが、設定額は、15年間の運営プラス1年間の準備等も含めて、いわゆるPFI法に基づく効率性のバリュー・フォー・マネーを算出した結果、約10パーセント、事業期間全体では20億円程度の削減が見込まれるということで出した数字である。
【委員】
 16年間で13億円を掛け算すると約200億円になり、提案価格201億円というと数字上削減されないと見えることがまず一点。
 二点目、今回、中日アライアンスグループの提案価格は他の事業者より高く、価格の優位性は劣っていた。提案力が価格を凌駕したポイントはどこか。
【理事者】
 201億円については、募集要項を公表した際に県が提示して、中日アライアンスグループからは同額の提案があった。昨年12月定例議会で約226億円の債務負担行為を設定したが、募集する段階までに、先ほどの委員の答弁にもあるが、公益財団法人愛知県文化振興事業団が引き続き事業を実施する部分については、当初、債務負担行為の額に含んで事業を実施しようと考えていたところ、県が直接公益財団法人愛知県文化振興事業団にお金を交付するスキームを取ることとしたため、その部分を226億円の債務負担行為から除いている。また、地方独立行政法人愛知県美術館機構が負担する光熱水費について、地方独立行政法人愛知県美術館機構が愛知芸術文化センターの8階から10階等のフロアを占めることで負担する額も、当初は226億円の債務負担に含んでいたが、そちらは除くこととし、募集するときには201億円が上限になった。
【委員】
 何を言っているのか全く分からないので後で説明してほしい。
 公益財団法人愛知県文化振興事業団のノウハウについて言及しているが、今回の優先交渉権者には、株式会社CBCテレビ、テレビ愛知株式会社、株式会社東宝エージェンシー、株式会社ブギウギエンタテインメント等、既に事業部を持っているノウハウの豊富な会社が一丸となって我が愛知県に協力してくれている中で、公益財団法人愛知県文化振興事業団を残す位置づけは、どこにポイントがあるか。ノウハウといっても、私の知る限り、これらの企業は相当大きな公演を主催、運営していてノウハウを蓄積している。過剰な経費をかけることをまた繰り返すことになるのではないか。私は過重投資ではないかと思う。今回、公益財団法人愛知県文化振興事業団について初めて知ったので、質問させてもらいたい。公益財団法人愛知県文化振興事業団が一部事業を引き継ぐことはプラスアルファというよりも、除いても問題ないと思うが、どうか。
【理事者】
 公益財団法人愛知県文化振興事業団が引き続き存続する使命としては、特に普及啓発、人材養成事業があり、こちらに関して、中日アライアンスグループでは、なかなか公益財団法人愛知県文化振興事業団の今まで築き上げた実績等に対して提案できる事業ではないと考えている。特に人材養成、普及啓発に関して、引き続き実施していくことが公益財団法人愛知県文化振興事業団を残し、継続してもらう理由と考えている。
【委員】
 細かい内容が分からないので、全てを否定することは、この場で言わないが、二重投資、過剰投資になる可能性があるものは、先ほど言ったように、スリム化してほしい。私は会社員時代に政府系機関に出向していたことがあり、いろいろなところから集まってノウハウを集約することに対しては自分の体験があるので、あえて言うが、やはり過剰な投資があるのではないかと危惧しており、そこは非常にシビアに管理してもらいたい。
 今後のスケジュールについて伺う。
【理事者】
 今後のスケジュールについて、まずは優先交渉権者である中日アライアンスグループと調整を進めた上で、11月頃に基本協定を締結する。基本協定とは、今後の実施契約の締結に向けて県及び同グループが誠実に取り組むべき事項を定めるものであり、この基本協定に基づき、事業者は本事業の実施のみを目的として設立する特別目的会社(SPC)の設立に向けた手続を進め、県は、運営権の設定に向けた手続を行っていく。運営権の設定に当たっては県議会での議決が必要となるので、令和8年2月定例議会に関係議案を提出し、議決後に、速やかに実施契約を締結していきたい。そして、SPCには2026年度の1年間は、運営事業開始準備業務として事業の開始に向けた準備を、2027年4月からは、運営権に基づく維持管理、運営業務を開始することを予定している。
【委員】
 この質問の最後だが、国際芸術祭あいちとの関わりについてである。今まさに開催されていて、数年後にも国際芸術祭あいちが開催される予定だから、16年で考えると、数回関わることとなる。今のノウハウを伝授しながら、より一層ブラッシュアップした芸術祭にすべきだが、その辺の関わりはどのような形になっていくのか。
【理事者】
 国際芸術祭あいちについては、次回以降も愛知芸術文化センターを主な会場として開催することを想定している。そのため、募集要項等において、運営事業者には、国際芸術祭あいちとの連携協力を求めている。
 具体的には、施設全体の活性化が図られるよう、共有スペースなどにおける作品展示や発表、ポスター掲示などに対し柔軟な運用を図ることを求めている。また、来場者が施設全体を円滑に移動できるよう、サイン表示や来場者の案内誘導について、国際芸術祭あいちと連携協力することを求めている。新たな運営事業者と国際芸術祭あいちがイベント開催において有機的に連携協力を図ることにより、愛知芸術文化センターの施設全体としての魅力を高め、にぎわいを創出できることに努めていく。
【委員】
 あと、二点質問する。コンセッションに併せて、美術品の共同収蔵庫の整備について伺う。
 愛知県美術館、愛知県陶磁美術館、愛知県立芸術大学が引き続き美術品等の保存及び収集活動等を継続できる収蔵スペースを確保していくために、全国初となる共同収蔵庫について、常滑市の元県立常滑高校跡地を候補地として整備する方針が示されているが、今後の取組について質問する。本年の12月までに整備計画を策定し公表する予定であるが、整備推進計画はどのような内容を想定して進めているのか。
【理事者】
 整備推進計画の策定に当たっては、愛知県美術館、愛知県陶磁美術館及び愛知県立芸術大学の県立3施設の現状及び課題を整理した上で、まずは、新たな共同収蔵庫の目指す姿や事業コンセプトについてまとめていく。その上で、県民の財産である美術品等を適切に保存、管理し、次代に継承していけるよう、各施設の学芸員と綿密に協議を行いながら、共同収蔵庫の機能と役割などについても計画に盛り込んでいく。
 こうした検討を踏まえて、施設整備の概要や管理運営の方針について示した計画を12月頃に公表する予定である。県立3施設に共通する課題に対してスケールメリットを生かした効率的な解決策を講じることができる全国初の共同収蔵庫の整備を進めていく。
【委員】
 収蔵環境を一部公表、公開する機能を付与する予定と聞いているが、見せる収蔵庫という形で行ったときに、集客施設としての可能性も検討されていると考えてよいか。
【理事者】
 一般的に収蔵庫は非公開となっているが、作品がどのように収納されているか、また、どのような環境で管理されているかなどを知ってもらうため、美術品等の保存状態に影響を及ぼさないよう注意しながら、収蔵環境を一部公開する機能を付与することも考えている。美術館の見せる収蔵庫の事例はまだ少ないが、国内では、東京藝術大学の大学美術館や海外ではオランダのボイマンス美術館などの先進事例を調査しながら、一般の人々にも作品保存の様子を見学してもらえる方策について検討していく。
 より多くの人に美術館活動への理解を深めてもらえるよう、収蔵庫における美術品等の保存管理の取組について学ぶ機会を提供していきたい。
【委員】
 私の記憶だと、愛知県には奇特な人がいて、高額な美術品を寄贈している。6億円だったかの絵画を所蔵していると思うが、そういった高額な絵画等については、現状維持するのか、集合して所蔵するのか、どのようにする予定か教えてほしい。
【理事者】
 個人からの寄贈品について、美術館本館にある収蔵庫に保存するのか、新たに設置する共同収蔵庫に保存するかは、この整備推進計画の策定の中で検討していくと思うが、基本的には、展示を頻繁に行うものは、本館の収蔵庫に置いた方が効率的であるので、寄贈された収蔵品の内容や公開の頻度を見ながら考えていきたい。
【委員】
 それぞれ学芸員は何人ずついるか。
【理事者】
 愛知県美術館と愛知県陶磁美術館を合わせて25人の学芸員がいる。
【委員】
 本委員会で沖縄県に県外調査に行ったときに、遺族の貴重な展示品等を整理する学芸員が1人しかおらず、非常に困っていて、なおかつ収蔵品が大量にある中でリニューアルを行うという話も出ていた。本県には25人いて、共同で対応するということなので、しっかりした整備と効率的なスペースの運用をするよう願う。
 引き続き三問目の質問をする。県営住宅に併設された空き店舗を活用して、若手の芸術者向けにアトリエを整備、提供し、創作活動を支援する事業について質問したい。
 当初予算の説明では、期間が6か月で、2025年9月から2026年3月までの予定であったが、現在の事業の進捗と今後のスケジュールはどのようになっているか。
【理事者】
 県営住宅等の空き住宅を活用したアトリエについては、名古屋市北区にある辻町住宅、中切住宅及び瀬戸市にある菱野住宅の合計3か所において、今年4月から8月にかけて壁や配管の工事、トイレ設置などの改修により整備を進めてきた。7月から利用アーティストの募集を行って、名古屋市内の2か所については、募集要件等を一部変更して、予定より半月後であるこの10月から作品制作を開始している。瀬戸市のアトリエについては、募集期間内に応募がなかったため募集を継続しているが、現在このアトリエに興味を示しアート関係者と利用条件や利用期間などの交渉を行って、空き状況の解消に努めている。
 今後の予定、活動であるが、12月以降に作品を鑑賞しながらアーティストと対話できるアートミーティングやオープンアトリエなど、地元住民と交流する機会を設けるほか、3月には利用アーティストによる作品の展覧会を愛知芸術文化センターで開催するなど、創作活動を支援していく予定である。
【委員】
 空き住宅の活用と創作活動の場の確保を両立する意義ある事業だと考えるが、継続的に事業を進める上で課題があれば教えてもらいたい。現在、既に1件、募集しても応募がないということであれば、場所を変える、または、募集が集中した場所を拡大するなど、いろいろあると思うが、どうか。
【理事者】
 若手アーティストへの支援を継続的に実施していくためには、今年度の課題をしっかりと検証し、次年度につなげていく必要がある。これまでの芸術関係の有識者、実際に活動しているアーティストに対しヒアリングを行っており、アトリエの利用期間は長いほうがよい、利用アーティストへのキャリア形成支援が必要などの貴重な意見をもらっている。
 本年度においても、名古屋市北区のアトリエは当初1人での利用を想定していたが、募集段階で複数人での利用希望があり、利用規定の調整などを行った結果、現在、辻町住宅は2人、中切住宅は4人で創作活動を行っている。今年度の実績を踏まえ、次年度以降は複数人での利用や十分な利用期間の確保に加え、利用アーティストのキャリア形成につながる支援を検討するなど、事業の見直しに努め、今後も継続的に若手アーティストへの支援を進めていきたい。
【委員】
 皆知っているかどうか分からないが、県営住宅5万5,000戸のうち、実際に住んでいるのは4万4,000戸しかなく、古いものは入居の応募をする人が少ない。昔のものほど今の併設店舗が入っていると思う。
 県としては、スクラップ・アンド・ビルドを進め、既存の6割から7割の建坪で建て直しを推進する計画であるので、古いものについてもどうするかを、専門部署とよく協議の上、空いているから一方的にではなく、そのまちの特性を生かして、進めてもらいたいと強く要望する。
 併せて、もう一点要望する。
 先ほどの愛知芸術文化センターの劇場コンセッションについて、県の使命は、低廉で良質なサービスを提供することに尽きる。サービスというのは、場の提供という形で、愛知芸術文化センターなどに運営を任せることである。
 現状の運営について、一部の人から使い勝手が悪いと言われている。どのようなことかというと、撤収の時間が例えば10時と決まっている場合、1分でも過ぎたら次は絶対使わせないという非常に厳しい運営をしていることである。今回、思い切って違う事業者が運営するのであれば、今ある課題を抽出、整理した上で、新たな運営事業者に、このような課題があるので、例えば撤収時刻を10時ではなく11時にしてもらえるような契約を結んでくれないか。既に愛知芸術文化センターを利用する際には、非常に厳格な管理がされている。予算を極小化するために、ぎりぎりの人員で運営しているような人がいるのであれば、そうした人たちが撤収の際に時間の猶予が欲しいと言ったとき、または、先入りさせてほしいと言ったときには、柔軟な対応をしてもらうことも肝要ではないかと思う。
 今回、201億円を提案した中日アライアンスグループは、他のところより高い金額で入札している。その付加価値はどこにあるのか、私には分からないが、付加価値があるとすれば、使いやすさや、より一層若い人たちがすばらしい公演ができる環境や、柔軟な対応などがある。12月に契約を結ぶのであれば、そうした点も踏まえて、使いやすい愛知芸術文化センターとして新たな運営をしてもらいたいと要望する。
【委員】
 消費者行政について、特殊詐欺の取組を伺う。
 還付金詐欺やオレオレ詐欺など、高齢者を中心とした特殊詐欺被害は依然として深刻な状況である。愛知県警察によると、昨年の特殊詐欺の認知件数は過去最悪の1,469件で、被害額は約41億5,500万円、今年の1月から6月の上半期だけでも920件、前年比257件増で、昨年を更新するペースになっている。被害額も前年度比で2.3倍の34億円と聞いている。これらの数字は毎年、県民の被害が大きくなっていることを示しているし、消費者行政側としても無視できない実態を示していると思う。
 消費者行政の主な役割は、契約トラブルや商品、サービスの被害の対応ということは理解しているが、被害に遭った人々からすれば、だまされて財産を失う、お金を取られるという点においては、特殊詐欺も典型的な消費者被害であると思う。消費者行政と特殊詐欺対策は切り離せないものであり、消費者行政側も取り組むべき課題だと思う。
 愛知県としては、昨年度、2025年度から2029年度までを計画期間とするあいち消費者安心プラン2029、第四次愛知県消費者行政推進計画を策定して、県民の消費生活に関する施策を総合的、計画的に進めていると思うが、その計画の中で、特殊詐欺の被害の防止についての記述があり、特殊詐欺の文言はある。この文言を入れたのは、第四次が初めてだと思うので、一定の取組をしていることは理解しているが、これほど深刻な状態にもかかわらず、特殊詐欺対策が明確に目的や柱に位置づけられていない。特殊詐欺に焦点を当てた対策は少し薄いと思う。
 そこで幾つか順に聞くが、まず、県として消費者被害と特殊詐欺被害で何か区別や認識があるのかを聞きたい。また、現状、特殊詐欺について、消費者行政側の中ではどのような問題意識を持ってどのように位置づけられているのかを聞きたい。
【理事者】
 特殊詐欺については、消費者被害の一つとして、近年深刻化している消費者問題と捉えている。本年3月に策定したあいち消費者安心プラン2029において、三つある目標のうち、目標1の消費者被害の救済・未然防止の強化の取組として、高齢者の特殊詐欺被害の防止及び特殊詐欺被害の水際措置や注意喚起を図ることを明記している。
【委員】
 そこは分かっている。第三次まで入っていないものを第四次に入れたことは評価しているが、柱や文章の中に書いてあるものの、明確に出ていないところは少し問題だと思っている。
 問題意識を持って取り組んでいるということで、少し具体的に伺う。特殊詐欺の対策においては、まず事前の防止が必要だが、特殊詐欺だと予兆電話がよくある。実際、この間、私のところにも今はやりの警察官を語る電話がかかってきた。私はだまされなかったが、予兆電話があったときに、消費者の身近な相談窓口といわれている、県でいえば愛知県消費生活総合センター、市町村でいえば消費生活センターに電話してよいのか、特殊詐欺の予兆電話にも対応してもらえるか聞いておきたい。現状、消費生活センターにおける特殊詐欺に関する相談や報告状況も聞きたい。犯罪、特殊詐欺をにおわせるような予兆電話の相談や報告があったとき、消費生活センターではその後どのように対応するのか。例えば警察と連携して情報提供を行っているのか。また、消費生活センターでは、相談に乗る側も特殊詐欺に関する知識や情報を身に付けないといけないが、対応する研修などが行われているのか確認したい。
【理事者】
 県及び市町村の消費生活相談窓口では、専門の相談員が、オレオレ詐欺等の特殊詐欺やSNS等を通じて関係を深めて信用させ投資すれば利益が出るなどといって金銭をだまし取るSNS型投資詐欺、SNS等を通じて恋愛感情等を抱かせたところで様々な名目で金銭をだまし取るロマンス詐欺に関する相談も受けていて、予兆電話があった場合についても対応している。
 2025年度4月から8月までに県及び市町村の消費生活相談窓口に寄せられた特殊詐欺等に関する相談件数は合わせて406件で、前年度の同時期と比べると44件減少しているものの、60歳以上の人の相談件数は119件で、前年度と比べ20件増加している。
 相談が寄せられた場合は、消費生活相談員が、いつ、誰から、どのようなことを言われたかなどの聞き取りを行って、同様の相談事例を紹介して、特殊詐欺等にあった可能性が高いことを伝える。さらに、警察へ届けたか、相手が指定する口座へ振込をしてしまったのかなどを確認の上、届け出る関係機関を助言し、被害の内容に応じて名古屋投資被害弁護士研究会などの救済団体を案内することにより、被害の救済に努めている。
 消費生活相談員の研修については、毎年度実施しているが、詐欺的な消費者被害の相談事例への対処方法については、専門的な知識の習得や相談対応の実務能力向上を目的とした消費生活相談員等キャリアアップ研修の中において、弁護士を講師に講義を実施する予定である。
【委員】
 予兆電話も対応できるということで、しっかりと対応してほしい。消費者行政全般でも、消費生活センターは分かりにくいとの声があるが、特殊詐欺に関しても一緒で、何かあったら相談してよいことをもっと周知し、受け入れていることを全面的に出せばよい。
 相談を受けた後も相談者に対して道案内をすることは大事だと思うが、消費生活センター側も統計的な情報でもよいので警察側に提供していくことも必要だと思う。
 また、研修に関しては今まであまり実施してこなかったことを行っていくということで、必要だと認識しているのだと思う。
 続いて、特殊詐欺に関する啓発、予防教育については現状どんなことを行っているか。特殊詐欺に関して、関連する公的機関といえば、一般的には警察である。取締りや捜査、啓発を行う警察と、県の防犯行政を所管する防災安全局県民安全課も関係するのか。注意喚起や啓発については高齢福祉課、子どもへの予防教育については教育委員会、私学については私学振興室が関係する部分もあると思う。現状、特殊詐欺の関係機関が組織横断的な対策組織や会議体を設置して情報共有や対策などを連携や協力する体制はあるのかを確認したい。
【理事者】
 まず、啓発・教育について、県では悪質商法への注意喚起をはじめ消費生活上の様々な情報を掲載した、消費生活情報紙あいち暮らしっくを年6回作成し、消費生活情報サイトあいち暮らしWEBにおいて配信している。あいち暮らしっくでは、特殊詐欺のほか、SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺の手口や具体的な対処方法など、被害の未然防止に役立つ情報を繰り返し掲載している。なお、ウェブに新たな情報を配信した際には、市町村や教育委員会に周知しており、市町村広報紙等への掲載や各学校で活用されている。
 さらに、今後はあいち暮らしっくによる啓発に加えて、高齢者や若者向けのあいち消費者市民講座なども活用し、特殊詐欺被害の防止に向けて様々な機会を捉えて、繰り返し教育、啓発していきたい。
 それから、連携や協力する体制について、県においては、消費者行政の横断的な会議体として、県の関係課室で構成する愛知県消費者行政推進会議があり、県民生活課が事務局を行っている。特殊詐欺に関する取組についても、同推進会議において、県警察を含めた関係部局で情報共有を行っている。また、福祉団体、消費者団体、弁護士会等が構成員となっている愛知県高齢者等消費者被害見守りネットワークづくりのための関係団体連絡会議においても、特殊詐欺に関する取組等について情報共有を行っている。
【委員】
 教育や啓発に関して、あいち暮らしっくの話が出た。私もいろいろ見てみて、最新号は172号だが、171号には、先ほど言った警察を語る詐欺が載っており、取組を始めていることは理解している。もう少しプッシュ型の強い教育も必要だと思っている。
 組織に関しては、今の答えはあくまでも消費者行政として見たときの推進するための会議体の話である。消費者行政全般も組織横断的にやっていることは理解している。特殊詐欺に関しては、被害を減らそう、何とかしようといろいろな部署がある中で、特化した組織は逆に言うとない。消費者行政としてそうした組織をつくるべきかというと、少し違うと思っており、どちらかといえば、防犯行政を担う県民安全課だと思う。
 最後の質問である。消費者行政の中での特殊詐欺は、取組が少し弱い。今後、特殊詐欺を対策の大きな柱として位置づけて、これまで以上に強化していくことが必要だと思うのだが、所見を聞きたい。
【理事者】
 特殊詐欺については、消費者行政における重要な課題として、あいち消費者安心プラン2029において、新たに取組として位置づけた。ただ、委員の指摘のとおり、特殊詐欺の被害は深刻な状況にあり、今後はこうした被害を1件でも減少させることができるよう、取締りを所管する県警察をはじめ、被害の未然防止に取り組む金融機関等の関係機関、事業者との連携を図りながら、消費生活相談での対応や消費者教育、啓発にしっかり取り組んでいく。
 なお、あいち暮らしっくについては、来月発行予定の若者向け特集号においても、特殊詐欺について取り上げ、市町村広報紙や講座資料に加え、学校教育における消費者教育の参考資料としても幅広く活用してもらえるよう準備を進めている。
【委員】
 最後に、繰り返しの部分も多いが、要望する。
 今回の質問を通して言いたかったのは、特殊詐欺が毎年のように増大化、深刻化し、県民の財産を奪う、安全・安心を奪う深刻な状態において、警察が取締りや捜査を当然行い、相談窓口や啓発も警察の対応という印象があった。しかし、先ほどから言っているように、消費者被害の中の一つであるから、警察だけではなく、行政も積極的に、重点的に取り組む課題だと思っている。
 消費者行政側も第四次計画から新たに加え、問題意識を持っていることは理解しているし、敬意を持っている。ただ、位置づけをもう少し強めて、明確に分かるようにしてほしい。
 まず一番大事なのは未然防止の強化であり、早期相談や予兆対応の強化が必要だと思う。先ほど言ったように、消費生活センターに電話してよいか分からないという状態があるので、予兆電話等があったときの対応窓口を、消費生活センターを含む消費者行政に設けるだけではなく、県民が怪しいと思ったら、警察よりもここだと思えるような周知徹底をすることが必要だと思う。
 そして、寄せられた相談に関しては、警察など関係機関と迅速に連携する仕組みを構築していくこと。そして、消費生活相談員の人員や相談時間の拡充など、体制の強化も当然必要となってくる。さらに、相談員に対する特殊詐欺に対応する研修の強化、併せて県民に対する啓発の強化も必要だと思う。その予防や啓発の中で、警察、福祉、教育など関係機関とより一層連携を強化して、子どもから高齢者まで一貫性のある発信、教育、啓発をしていく体制も必要かと思う。これだけ深刻な状況が出ているので、関係部署がもう少し情報や対策を共有する横断的なものをつくっていく。これは私の持論だが、警察は取締りや捜査を主眼に頑張ってもらい、予防や啓発の部分は、もっと行政が担っていくことが必要かと思う。県民の財産を守る全庁的な取組が必要だと思う。
 最後になるが、特殊詐欺の位置づけを一段と明確にして取り組むことである。数年後には、第五次計画になると思うが、その中でははっきりとした柱と目標を掲げてもらいたい。もちろん今からも強力に努めてもらいたいが、行政はよく数値目標を掲げる。特殊詐欺に関しても認知件数を何件にする、何パーセント削減する、被害額を何億円以下に抑えるといった共通の数値目標を持つことによって一丸となれるし、数値的な目標設定が周知啓発やPRになることもあるので、考えた方がよい。
 ぜひ、消費者行政においても特殊詐欺を大きな柱と位置づけて、県民の財産と安心・安全を守るために、一層力強く取り組んでもらうことをお願いして、質問を終わる。
【委員】
 二点質問する。
 最初は、ヘイトスピーチ、いわゆる外国人政策に関わる話である。
 さきの参議院選挙の中で私が強く感じていたのは、選挙が始まってから外国人政策が争点に急浮上したことである。言説の中では、外国人が急増したことによって日本の生活、治安が脅かされていることが盛んに言われ、日本の社会制度に対して外国人による不当な利用が横行していることも言われた。以前から一部の候補者が言うことはあったが、今回の場合はそれと質的、量的に異なる規模に拡大したと言わざるを得ない。特定の政党の名前は挙げないが、こうした言説を看板にして多くの支持を得て議席を伸ばした勢力も実際にいるわけで、これは、ゆるがせにできない課題になってきた。与党を含めて主要な政党の中にも、これに応じて外国人施策、取締りを強化する方向での動きも出ている。
 そこで、愛知県人権尊重の社会づくり条例を所管する当局において、特にその中には、本邦外出身者に対する差別的言動を規制するようなヘイトスピーチに関する条項も含んでいるが、こうした条例を所管し、あいち人権推進プランを推進している担当として、参議院選挙中に特に顕著になった排外主義というか、外国人のもたらす日本社会の弊害について、極端に事実に基づかずにこれを扇動、流布するような言説が横行した事態についてどのような受け止め方をしているのか、まず聞きたい。
【理事者】
 参議院選挙の件であるが、選挙活動であれば何を言っても許されるものではなく、法務省が2019年に考え方を整理している。選挙運動等の自由の保障は民主主義の根幹である一方、その言動が選挙運動等だからといって、安易に人権の侵犯性を否定することはあってはならない。人権侵犯性の有無を総合的かつ適正に判断して各法務局は対応するようにという内容である。したがって、選挙運動であれば何を言っても許されることではないといえる。こうした考えは法務局から県にも通知され、県から県内市町村にも通知している。
 愛知県では、委員からも話があったように、愛知県人権尊重の社会づくり条例に基づき、各取組を進めている。こうした差別的なことをあおるような発言は、あってはいけないと考えていて、ヘイトスピーチにつながるような言動が生じないように、まず県としては啓発活動を国や市町村と連携しながら進めている。
 公の施設でそうしたヘイトスピーチが行われないよう、行われるおそれがある場合には施設の利用を許可しない。さらに、県内の道路上の公共の場所などでヘイトスピーチが行われたのではないかという申出があった場合、愛知県人権施策推進審議会に諮問して、審議会がヘイトスピーチに該当すると判断した場合は、その答申を受けて、概要を知事が公表する取組を進めている。
【委員】
 この条例を2022年につくって4年目に入るわけだが、ヘイトスピーチに関わる規制の条例に基づいて県がやっていることは、具体的なヘイトスピーチではないかと思われるような事象が発生した場合には、審議会の意見を聴きながら、公の施設や場所でヘイトスピーチが行われないような措置を講ずること。もう一つは、部落差別や外国人差別等に関わるようなキーワードを検索してもらうモニタリング業務を委託して、それぞれに関連した項目の動向を把握し、その中で極端な例は、法務省に削除要請するという、大きく二つの対策をやっていると思う。こうした対策の中で、ヘイトスピーチに該当すると思われるような事案の検討や、モニタリングの中で上がってきた、外国人差別に関係するような項目は、どのような数値になっているのか。
【理事者】
 ヘイトスピーチ関係の大きく二つの対策についてである。まず、ヘイトスピーチが道路上で行われた場合、2022年の条例施行以来、四つの案件について10件の申出があった。そのうち1件についてヘイトスピーチに該当するという審議会からの答申を受けて、概要の公表を行っている。
 このヘイトスピーチは、本年1月12日に名古屋市中区内の中国に関係する行事が開催された会場付近で、中国人に対して祖国で生きろというプラカードが掲示されたものであり、特定の民族を地域社会から排除することを扇動することに当たるものであった。なお、この概要の公表の目的は、ヘイトスピーチを広く県民に周知して、このようなことをしてはいけないという理解促進に努めるものであるので、行った者の氏名、団体の名称や住所等の公表はしていない。
 また、この1件以外はヘイトスピーチに該当しないという審議会からの答申だったが、地域社会からの排除の扇動に発展する可能性があるという懸念もあり、社会の分断をあおることがないように、必要な啓発等をより一層講じられたいとした意見も受けて、しっかりとヘイトスピーチの解消に向けた県民への啓発に取り組んでいく。
 さらに、もう一点のインターネットモニタリングの件であるが、2021年の試行的な取組以来、条例の施行後も続けており、ヘイトスピーチのおそれのある言動を把握した場合においては、速やかに拡散防止に向けて国の人権擁護機関である名古屋法務局に削除要請を行っている。
 昨年度は、そうしたヘイトスピーチのおそれがある言動を25件確認し、名古屋法務局に削除要請を行って、そのうち7件が削除されたことを確認している。
【委員】
 非常に限定的な案件だと思うが、こうした条例をつくり、ヘイトスピーチは許さないという県の姿勢を明確にし、取組が進んでいることは評価したい。
 そうした中で、愛知県弁護士会から、愛知県において人種差別撤廃条例、ヘイトクライムやヘイトスピーチを厳しく規制する条例をつくってほしいという意見書が今年2月に提案されて県に届いていると思うが、これをめぐって、8月9日には愛知県弁護士会館でシンポジウムがあった。私も出席し、県は愛知県人権尊重の社会づくり条例をつくって、県なりの努力をしていると発言をしてきたが、県としては愛知県弁護士会からの意見書に対してどのような対応をしようとしているのか答えてほしい。
【理事者】
 本年2月の愛知県弁護士会の意見書は、3月に愛知県及び県内の市町村宛てに提出されている。この意見書は、県内におけるヘイトスピーチ等の実情を踏まえて、本県の人権条例に刑事罰や禁止規定を盛り込むことなどが求められている。本県では、条例制定の前年に行った有識者会議において、ヘイトスピーチが行われた場合に条例に刑事罰などを盛り込むことを含めて検討したが、本県の状況を踏まえ、東京都の人権条例と同じように、ヘイトスピーチの概要の公表を行うこととして、刑事罰などは設けないこととした。
 2022年の条例施行から4年目となるこれまでに、ヘイトスピーチの概要の公表は1件あり、ヘイトスピーチがなくなったとまではいえないが、条例によって一定の抑止効果はあるものと考えている。
 そのほか、意見書で求められていることとして、インターネット上の拡散防止措置や、公の施設の利用、ヘイトスピーチが行われる場合には制限をすることについては、インターネットモニタリングの実施や公の施設に関する指針の策定により、本県では既に対応している。
 ヘイトスピーチをなくすためには、ヘイトスピーチは決して許されるものではないという意識が広く深く社会に浸透していくことが非常に重要であるので、今後もあいち人権センターを拠点として、パネル展示などをはじめとする様々な広報、啓発活動を実施することで、ヘイトスピーチの解消に向けて取り組んでいきたい。
【委員】
 最後にこの項目に関する要望になるが、弁護士会の場でも具体的にいろいろ指摘していたが、条例をつくる、法律を改正するためには、立法事実が必要である。愛知県内において、2022年の条例制定以降、先ほどの話だと、ヘイトスピーチとして認定されて公表されたのは僅か1件であるが、措置に至らないような事象は、実は愛知県内にも相当発生している。ここで一々列挙することは避けるが、弁護士会はそういった事例を集めている。愛知県は全国でも有数の外国人県民の多い県でもあるし、また、来年にはアジア・アジアパラ競技大会という、アジアの各国からいろいろな人を迎える重要な行事が控えていることもあり、愛知県内における人権条例の考え方に基づく規制や、発信が十分かどうかは、条例が設定されて4年目、5年目になれば、十分吟味する時期にきている。
 そこで、弁護士会や審議会とも十分協議をして、当局は愛知県における多文化共生という重要な役割も有しているので、外国人県民や往来する外国人が安心して訪れてもらえる、住み続けてもらえるような愛知県となるための施策の強化に向けて、ぜひ議論を進めてもらいたい。
 もう一点、別のテーマだが、9月13日に国際芸術祭あいち2025が開幕した。既に20日ほど経過して、11月の末まで開催しているから、これからだと思うが、現時点の国際芸術祭あいち2025の来場者の傾向や数、どのような社会的な反響を呼びつつあるかについて、担当部局がどのように把握しているか、まず聞かせてほしい。
【理事者】
 国際芸術祭あいち2025は、9月13日から順調に開幕を迎えている。来場者数は9月28日までに9万2,000人を超え、開幕から16日間の合計で、前回の国際芸術祭あいち2022と比べると1万人ほど多い人数が来場している。チケットも概算値だが、前回よりも枚数で20パーセント程度、売上金額で30パーセント程度増えていて、順調な滑り出しを迎えている。
 周りからの評価も、マスコミ等で聞く限りでは大変よい評価をもらっていて、新聞、テレビでも多く取り上げてもらっている。この調子で閉幕まで進めていきたい。
【委員】
 大変結構なことだと思う。私もこれから再三会場を訪問し、見たいと思っているが、実は、開幕直前に、気になるニュースを耳にした。それは、大林剛郎氏が会長を務める組織委員会で副会長を務めていた東朋テクノロジー株式会社の富田英之氏が組織委員会の副会長を退任したことである。県としては、富田英之氏の退任についてどのように受け止めているのか聞きたい。
【理事者】
 辞任の理由としては一身上の都合としか聞いておらず、そう受け止めている。
【委員】
 民間の個人の人であるし、非常に重要な人物でもあるので、あえてその理由を詮索することは控えるが、重要な副会長として役割を果たしていた富田英之氏が欠けたことによって、組織委員会の執行体制に対して何か影響があるか懸念するが、その点はどうか。
【理事者】
 組織委員会の規約では、副会長の職務は会長を補佐することであって、会長1人、副会長2人を置くこととしている。副会長は、県民文化局長及び愛知県知事が委嘱する者となっている。今回、副会長のうち1人が辞職したことで、会長、副会長の負担は増えるが、国際芸術祭あいち2025が成功するように、事務局が一丸となって取り組んでいきたい。
【委員】
 この件に関しても要望するが、2019年のあいちトリエンナーレ事件の当時も私は、県民環境委員会にいて、正面に座っている県民生活部長が当時は主幹として本当に苦労していたのを見ているし、知事は非常に原則的な姿勢を貫き、いろいろあったが、最終的には、大きな議論を呼びながらも、芸術祭、トリエンナーレとしては、成功したのではないかと思っている。
 こういった取組が過去にあったことと比較して、今回の芸術祭はまた違った意味で、フール・アル・カシミ芸術監督の選任、その芸術監督を選任した株式会社大林組の大林剛郎組織委員会会長の見識は、まさに灰と薔薇のあいまにという中東の戦乱の中から生まれているものに対して我々がどのようなメッセージを出し得るかという、今の世界情勢とマッチしていると思う。中東のパレスチナをめぐる情勢は非常に緊迫して、多くの人が関心を寄せているが、そういった関心と非常に重なる形で今回の芸術祭の展示とフール・アル・カシミ芸術監督の発信が共鳴していると評価している。ぜひこの効果を高らしめて、11月までの、終結に向けて引き続き努力をしてもらいたいと要望して終わる。
【委員】
 自民、公明、維新の3党合意により、来年度から私学の無償化を行う予定である。そして我々の会派には私学振興議連という議連がある。年間、数多くの私立高校や私立幼稚園を回るのだが、そのときに現場からもらった様々な悩みを含めた質問を数点する。
 まず一点目、授業料の無償化についてである。愛知県における私学助成の現状を踏まえて質問する。
 愛知県の私立高校への授業料軽減補助は、現在、年収720万円未満の世帯に対して、県内私立高校の授業料の平均額まで補助する制度となっている。全日制高校の場合は補助単価44万5,200円となっており、これにより私学に通う約半分の生徒の無償化を実現している。置かれた家庭環境によって、子どもたちが私立、公立の選択の幅が決して狭まってはいけないという思いと、教育の格差が最終的には所得の格差につながってはいけないという思いの中で、720万円までの無償化でおおむね約半分の人々の無償化を実現している愛知県の姿勢は非常に評価できる。しかし、実際の授業料は44万5,200円より高い高校も安い高校もあり、様々である。
 それぞれの補助額はどうなっているのか質問する。
【理事者】
 私立高校の授業料は学校によってまちまちであって、補助に当たっては、補助単価と各高校の授業料と比較して低い方で補助することとなる。授業料の額、補助単価を下回る高校については無償化となるが、補助単価を上回る高校については、上回った分は保護者負担となる。
【委員】
 来年度の上限単価45万7,000円を下回っている高校、上回っている高校はどれだけあるのか。
【理事者】
 本県の私立高校55校のうち、本年度の授業料が45万7,000円を下回っている高校は45校、上回っている高校は10校となっている。
【委員】
 各高校の授業料が現行どおりと仮定した場合、来年度の無償化に係る所要額は総額で幾らぐらいになるのか。
【理事者】
 各高校の授業料が現行どおりと仮定した場合の無償化に係る所要額については、今年度予算の生徒数に基づき試算すると約265億円となる。今年度の6月補正後の予算額171億円から約94億円の増となる。
【委員】
 次に、来年度の授業料が45万7,000円まで所得制限なく無償化されることを機に、45校が仮に授業料を45万7,000円まで引き上げたとしたら、その引上げに伴う影響額は幾らぐらい見込んでいるのか。
【理事者】
 45校が授業料を45万7,000円まで引き上げた場合の所要額について、同様に今年度予算の生徒数に基づき試算すると、引上げに伴う影響額は約14億円となる。
【委員】
 本題だが、ただいま聞いたとおりで、国が来年度授業料を45万7,000円まで無償化することにより、全日制高校だけで、94億円が必要となり、加えて、45万7,000円を下回っている高校も授業料を45万7,000円まで仮に引き上げた場合、さらに14億円が必要となる。
 さきの6月定例議会の本委員会で委員からも指摘があったが、45万7,000円まで補助してくれるということは、学校にとっては、保護者負担なく授業料を値上げすることができる。現在、国では根拠のない値上げを抑制する仕組みを検討しているとの答弁があったと記憶しているが、その後の国の動きに新しい進展があったかどうか伺う。
【理事者】
 現在に至るまで国の動きを注視してきたが、国からはまだ制度の詳細は示されていない。
 先月、自民党、公明党、日本維新の会の3党による実務者協議が再開したとの報道を目にした。具体的な内容については、国においてこれから検討していくものと思われる。
【委員】
 私学の無償化に先立って、幼児教育の無償化のときにも値上げがされている。国は、都道府県に対して、根拠のない値上げや隠れ蓑とした値上げはしっかりと発見し、指導するよう通達しているはずである。このような事態も起こり得る中で、本来、私学は建学の精神のもとに、どんな教育をしたいかで予算組み、積算し、その予算に見合った生徒たちが、この学校なら行きたいといって需給のバランスが取れている。45万7,000円で無償化をしてしまうと、本来頑張って授業料を抑制していた高校も45万7,000円に上げてしまう可能性があり、原資が税金である以上、県としてしっかりと見てもらいたい。逆にしっかりと見過ぎてしまうと、教育の自由化の阻害につながることもあるが、原資が税金である以上は、やはり根拠のない値上げではなく、私学の特徴や、建学の精神に基づいて学校の幅をさらに広げて、未来を担う人材を育成できるような値上げであれば許容できるが、その辺を踏まえてしっかりとチェックしてもらいたいと思う。
 一点は警鐘を鳴らすという意味でお願いする。二点目としては、私学振興議連でいろいろな学校を回る中で、直していかなければならないと思った点について、二点質問したい。
 一点目は、授業料負担を軽減するための高等学校等就学支援金と授業料以外の教育費、PTA、修学旅行、学用品の負担を軽減する高等学校等奨学給付金の二つの制度の申請先の違いについてである。
 就学支援金は、生徒の住所地にかかわらず、在学している高校に受給申請するのに対して、奨学給付金の場合は、県外の学校に通っている生徒は住所地のある都道府県に直接受給申請をする必要がある。保護者にとって非常に分かりにくく、負担の大きい制度になっている。奨学給付金も就学支援金と同様に在学している学校を通じて申請できるよう、県として国に対して何らかの働きかけを行っているのか伺う。
【理事者】
 就学支援金と奨学給付金との申請先の違いは、就学支援金が県内の高校に在学している生徒が対象であるのに対し、奨学給付金は県内に在住している生徒が対象という制度の違いによるものである。
 県からは、国に対して、毎年行っている国の施策並びに予算に関する提案、要望において、奨学給付金の対象者を就学支援金に合わせるなど、事務負担が少なく分かりやすい制度とするよう要望している。
 一方で、制度改正を阻む一因として、就学支援金が全額国の負担であるのに対し、奨学給付金は国庫3分の1の補助事業であり、3分の2の地方負担が生じるところにある。広域通信制が多く設置されている都道府県などにおいては、他県の生徒に公金を投入することに対する抵抗感があるところもあると聞き及んでいる。そうした中、全国知事会では、このたびの高校無償化の制度設計に当たり、奨学給付金も就学支援金同様、全額国庫負担により実施するよう要望している。
【委員】
 もう一点、国に対する県の要望について質問する。先ほども言った就学支援金は支給月数の上限が36か月と定められており、いかなる理由であれ、在学期間が36か月を超えた生徒は受給できない制度となっている。本来、制度の趣旨は、全ての学びたいという意思のある高校生等に安心して教育を受けられるようにすることであり、意欲を失って36か月超えてしまった人はやむを得ないが、家庭や様々な諸事情で36か月を超えてしまう人もいる中で、学費を払うのが大変な世帯も多い。支給月数の制限をぜひ緩和できるように、県として国に対して何らかの働きかけを行ってもらいたいと思うが、実際のところどうなのか。
【理事者】
 支給月数の制限緩和についても、国の施策並びに予算に関する提案、要望の中で要望している。
 なお、在学期間が36月を超過した生徒については、その理由が病気などによる場合、県の単独補助により授業料の補助を行っている。
【委員】
 愛知県としては単独補助をしているが、本来、国がやってもらわなければいけないという思いがある。来年度で制度が変わるので、45万7,000円というお金をもらうだけではなくて、今までやりにくかった制度や矛盾を感じている制度も含めて、変えてもらった方がよいと思う。今後、国と県のやり取りも行うであろうし、我々議員も、国会議員や国に対してしっかりと要望していくのが仕事だと思っている。何度も言うが、誰もが安心して教育が受けられる、どの家庭環境にあっても、しっかりとした教育が受けられる愛知県にしていかなければいけないと思うので、我々もしっかりと国に対して陳情していくことを約束し、県としても頑張ってもらいたいことを述べて、質問を終わる。

 

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