本文
公営企業会計決算特別委員会審査状況(令和7年10月16日)
公営企業会計決算特別委員会
委員会
日時 令和7年10月16日(木曜日) 午後1時~
会場 第8委員会室
出席者
坂田憲治、鈴木まさと 正副委員長
水野富夫、藤原ひろき、神谷和利、朝日将貴、柳沢英希、伊藤貴治、
朝倉浩一、江原史朗、岡 明彦、柴田高伸 各委員
企業庁長、企業次長、技術監、管理部長、水道部長、企業立地部長、
代表監査委員、監査委員事務局長、同次長、関係各課長等

委員会審査風景
付託案件等
決算
決算第14号 令和6年度愛知県水道事業会計決算
決算第15号 令和6年度愛知県工業用水道事業会計決算
(令和6年度愛知県工業用水道事業剰余金処分計算書(案)を含む。)
決算第16号 令和6年度愛知県用地造成事業会計決算
(令和6年度愛知県用地造成事業剰余金処分計算書(案)を含む。)
結果
全員一致をもって認定すべきものと決した決算
決算第14号から決算第16号まで
全員一致をもって原案を可決すべきものと決したもの
令和6年度愛知県工業用水道事業剰余金処分計算書(案)
令和6年度愛知県用地造成事業剰余金処分計算書(案)
会議の概要
- 開会
- 審査事項の概要説明
- 質疑
- 採決
- 閉会
主な質疑
企業庁関係
【委員】
令和6年度愛知県公営企業会計決算付属書の64ページ、134ページを基に質問する。
まず初めに、企業債の借換えについて質問する。
資金の安定調達や金利変動リスクの緩和の観点から、資金管理の効率化を目指す必要があると考えている。水道事業及び工業用水道事業において借入れしている企業債で、現時点でも比較的金利の高いものがある。
68ページの水道事業は未償還残高が650億1,932万余円、144ページの工業用水道事業では未償還残高が338億1,184万余円となっている。
今後の金利上昇を見越して、金利の高い企業債を低金利のものへ借換えを行う考えはないのか伺う。
【理事者】
金利の高い企業債を低金利のものへ借換えを行うに当たっては、まず、その企業債を繰上償還することが必要となる。
財政融資及び地方公共団体金融機構による公的資金については、平成19年度から平成24年度にかけて時限的に実施された繰上償還時の補償金が免除となる制度を利用して、繰上償還を進めてきた。
これまでに水道事業で約126億円、工業用水道事業で約74億円の繰上償還を行い、水道事業で約21億円、工業用水道事業で約14億円の利息の軽減を図った。
現在では、補償金が免除になる制度がなく、メリットが得られないことから、補償金免除制度の復活や恒久化などを国等に要望している。
【委員】
令和6年度事業報告の20ページと44ページ、水道事業と工業用水道事業の両方で質問する。
企業債の現在高において、借入先の構成比が、水道事業と工業用水道事業と異なっているが、こちらはなぜか。今現在では、水道事業だと、財務省が93.3パーセント、地方公共団体金融機構が6.5パーセント、市中銀行が0.2パーセント、工業用水道事業だと、財務省が9.4パーセント、地方公共団体金融機構が37.3パーセント、市中銀行が51.6パーセント、受水会社が1.7パーセントとなっているが、構成比が違うのはなぜか。
【理事者】
企業債の借入れを行うに当たっては、総務省に対し起債協議を行い、発行金額等の同意を得る必要がある。また、借入先は財政融資及び地方公共団体金融機構による公的資金と市中銀行等の民間資金がある。水道事業では、近年、財政融資資金で起債することができているので、その構成比が高くなっている。
一方で、工業用水道事業は、財政融資資金の貸付対象事業ではなくなったことから、平成23年度以降は借入れを行っていないので、近年は市中銀行の構成比が高くなっている。
工業用水道事業については、借入先が受水会社とあるが、これは平成20年度まで事業所へ工業用水を送るための配水管などの整備に必要となる資金について、資金調達コストの軽減により工業用水道料金の低廉化を図るため、受水契約時に契約水量に応じて、市中銀行より低い借入利率で、受水会社に調達を引き受けてもらったものである。
【委員】
工業用水道事業での借入先の受水会社というのはどういったものになるのか。
【理事者】
工業用水道事業の受水会社については、まず、令和6年度末現在においては、47の事業所から借入れを行っている。
【委員】
企業債について述べたが、次は資金運用について伺いたい。
令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の56ページ、72ページ、88ページになるが、3事業会計で質問する。
現在、マイナス金利やロシア・ウクライナ紛争などによる物価上昇が進んで、インフレが身近になった。これまでは預金で置いておくことが、元本が減らずに、安全性も高い運用手段だといわれていたが、そうではなくなったと見ている。
現在、水道事業では261億2,809万余円、工業用水道事業で123億5,945万余円、用地造成事業で228億8,643万余円を多額な資金として保有しているが、現金、預金の管理及び運用方針はどうなっているのか伺う。
【理事者】
令和6年度末時点で3事業会計の現金、預金の保有高は約613億円である。地方公営企業の現金は、政令の規定により、金融機関への預金など、最も確実かつ有利な方法で保管することとされている。
企業庁では、当面の資金計画を立て、必要となる運転については当座預金で、運転資金を上回るものについては普通預金と利率が有利な大口定期預金に預け入れすることで、運用益の確保に進めてきた。
現在は、昨年3月のマイナス金利政策の解除を受け、従来の大口定期預金による運用に加え、9月から、過去に運用実績がある譲渡性預金による資金運用を行っている。
【委員】
譲渡性預金の運用ということだったが、こちらは債券運用は行わないのか。
【理事者】
水道及び工業用水道事業において、地震防災対策や老朽化施設更新のために、また、用地造成事業においても、新規の工業団地造成のために多額の企業債を活用し、事業を進めている。そのため、長期の運用をするまでの資金的余裕がないことから、債券による長期的な資金運用は行っておらず、短期的な運用を主としている。
短期的な資金運用については、機動的かつ資金需要の変化にも対応できる方法を取っており、平成26年度までは、保有資金の一部を、国庫短期証券により運用を行っていたが、同年10月より利回りがマイナスとなったことから運用を見送ることとした。マイナス金利解除を契機に、利回りがマイナスからプラスになったものの、国庫短期証券は譲渡性預金の利率より低かったことから運用を行っていない。
昨今の金利が上昇している経済動向を踏まえて、債券を含めた、より安全で有利な運用方法を研究していく。
【委員】
では、用地造成事業のほうに移り、令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の15ページである。ウ決算状況の中で、事業収益の決算額は62億7,091万余円となっている。このことに関して尋ねる。
企業庁の用地造成事業は、開発事案ごとに事業採算性が取れていることが事業実施の要件になっていると思う。分譲価格についてはどのように決めているのか伺う。
【理事者】
企業庁が工業用地を分譲する際の土地の分譲価格は、造成する地区ごとに、まずは基準となる標準的な画地の不動産鑑定評価額を取得して、この鑑定評価額を基に、分譲区画ごとの面積の大小や画地の形状、道路の接面状況など、その土地が持つ個別的な要因を考慮して決定している。
【委員】
また、令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の17ページにあるが、こちらに、企業庁が今後も新たな造成を推進していくためには、健全な事業経営に努めなくてはならないとあるが、分譲用地の分譲価格を決定する上で、どのように採算性を確保しているのか伺う。
【理事者】
企業庁が投下した資金を確実に回収するためには、その地区の造成に要した用地取得費や工事費などの合計である造成原価が分譲価格を上回ってはいけない。
このため、企業庁では、分譲価格の決定においては、不動産評価額を基に決定した価格と造成原価のどちらか高いほうの価格を採用することを基本として、事業採算性の確保に努めている。
【委員】
私からは、令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書から質問したい。
まず、水道事業会計で、48ページの資本的収入及び支出の第1款資本的収入第3項工事負担金が、予算額が1億6,263万円に対して、決算額は2,362万2,500円で、約1億3,900万円の減で、執行率が14.5パーセントと極端に低いが、この原因について教えてもらいたい。
【理事者】
資本的収入における工事負担金については、県営水道施設の移設工事等に要する費用を当該工事の原因者から徴取するものである。
令和6年度は、愛知県知立建設事務所が、工事を実施するに当たって支障となる県営水道管の移設工事を、同建設事務所の費用負担により実施する計画としていたが、同建設事務所の工事区域において埋蔵文化財が見つかり、その調査のため、工事工程に遅延が生じることとなった。
これに伴って、県営水道管の移設工事も遅延となり、令和7年度の工事着手になったため、工事負担金についても令和7年度に徴取することとしたことから、令和6年度の執行率が低くなったものである。
【委員】
次に、工業用水道事業会計に入るが、令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の12ページに工業用水道施設の地震防災対策については、愛知県営工業用水道地震防災対策実施計画に基づき、東海四県及び名古屋市との相互応援体制整備などのソフト対策という文言があるが、この相互応援体制整備とはどのような内容のものであって、どのように管理・運営されているのか、そしてまた、愛知県営工業用水道地震防災対策実施計画に基づく、地震災害時の応急復旧等の体制はどのような状況であるのか、令和6年度の取組も含めて教えてほしい。
【理事者】
まず、地震防災対策実施計画における災害相互応援の体制の関係だが、これは、東海四県及び名古屋市との間の相互応援協定で、相互応援にかかる費用の負担や応援の要請の仕方などを定めている。
私どもの工業用水道における地震災害時の応急復旧等の体制については、地震等により大規模な被害を受けた場合、愛知県企業庁災害対策実施要領に基づき、災害対策本部を設置して、施設の被害状況等を把握し、応急復旧を行う。
地震時の被害状況等の収集、共有のため、災害対策本部と各水道事務所との間や、給水先事業所への情報伝達手段を事前に確保するとともに、復旧作業を速やかに進めるため、応急復旧工事に必要な一定の資機材を保有している。
また、他の事業体から応援が必要な場合に、令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書にある東海四県及び名古屋市との工業用水道災害相互応援に関する協定等に基づき、応援を依頼することとしている。
こうした情報の収集、伝達、応急復旧等の体制の具体については、マニュアル等を策定し、毎年、地震防災訓練を実施することで、職員に周知徹底し、必要に応じてマニュアル等の見直しを行い、実効性を確保している。
最近の見直し事例については、昨年8月の日向灘を震源とする地震において、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が初めて発表された状況を踏まえて、職員参集に関する非常配備基準を見直し、防災体制の強化を図ってきている。
【委員】
それでは、用地造成事業会計だが、令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書17ページと、77ページから80ページにかけてだが、一部、大きな用地が長年にわたって未処分となっていて、10年以上経過しているものもある状況だが、この未処分宅地の現在の状況、そしてまた、令和6年度はどのような取組を行って、どのような実績を上げてきたのか教えてほしい。
【理事者】
まず初めに、未処分宅地の現在の状況についてである。
内陸用地の未処分宅地約9.8ヘクタールのうち、額田南部地区及び三好黒笹地区の約4.7ヘクタールは、立地企業にリースしている宅地ののり面部分である。こののり面部分は、建物の建設や構造物の設置ができない土地であるため、リースの対象としていないが、将来、企業が宅地部分をリースから分譲へ切り替える際に、この宅地部分と合わせて、のり面部分を購入する旨を契約で取り決めている。
豊橋三弥地区の約5.1ヘクタールは、残り2区画の面積であり、今年度に入り1区画は6月に契約を締結し、残り1区画は、現在、契約締結に向け、事務を進めている。
また、臨海用地については、これまで日本各地で起こった高潮や津波の被害の影響などにより売却が進まない時期もあったが、近年は広大な土地を求める企業からのニーズが高まっていることもあり、令和6年度においては、田原1区をはじめ3地区で計4件、約5.1ヘクタールの契約を締結して、着実に企業誘致を進めている。
次に、令和6年度の企業誘致活動の取組としては、東京事務所に常駐する職員の254件を含む計677件の企業訪問を実施するとともに、幸田須美地区において令和6年3月から6月までの期間を設けて、分譲申込みの受付を行った。
こうした活動を通じて、令和6年度は企業庁全体で、内陸・臨海合わせて計14件、約22ヘクタールの契約を締結した。
【委員】
内陸と臨海と、いろいろと環境が違うので大変かと思うが、臨海用地において、今後どのように企業誘致活動に取り組んでいくのか教えてほしい。
【理事者】
分譲を進めていくために、毎年600件以上の企業訪問を行うとともに、民間企業のOBを企業庁がアドバイザーとして委嘱することにより、様々なケースでの意見をもらいながら、効率的・効果的な企業誘致活動に努めている。
また、首都圏の大手建設業者や金融機関に対し、継続的にヒアリングを行い、情報通信関連企業の動向や、老朽化による企業の潜在的な建て替え需要を掘り起こすなどの情報収集に努めている。
こうした活動を通じ、東京事務所に常駐する職員の企業誘致活動の成果として、今年度に入り、2件の契約を締結した。
これからも製造業や物流業にこだわることなく、今後進展が予測される脱炭素・資源循環型社会に向けた企業動向やAIの進化の速度を常に意識しながら情報収集に努めるとともに、民間企業のノウハウを活用しつつ、企業誘致活動に取り組んでいきたい。
【委員】
最後に要望するが、質問や相談時に、愛知県でも企業立地の案内のパンフレット等を作成して配っているが、例えば、用地造成をした地元自治体と連携して、パンフレットなどにその地域の特色や環境のよさ、道路や港へのアクセスといったハード面とか、補助金の情報だけではなくて、人材の確保のしやすさだとか、女性の働きやすさ、子育てのしやすい地域だという情報や、ITでいえば、無料Wi-Fi普及率など、そういった情報をもう少しパンフレットのほうに入れてもらえると、見るほうももう少し関心を持ってもらえるかと思うので、引き続き、様々な視点、観点から企業誘致に取り組んでもらえたらと思うので、よろしくお願いする。
【委員】
私からは用地造成事業について伺いたい。
令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書77ページの用地取得及び処分の状況、内陸用地の表にある未成宅地というものは、どういったものなのか尋ねる。
【理事者】
企業庁では、開発決定した地区で用地を取得したものの、造成工事がまだ完了していない土地を未成宅地として整理している。
【委員】
開発決定してから造成工事をされるまで恐らく期間が相当長いと思うので、様々な状況にある宅地がその中に含まれると理解した。
そうしたことを踏まえ、内陸用地が幾つか、豊明柿ノ木から半田石塚、それから蒲郡海陽が未成宅地として平米数が載っているが、企業庁のホームページを私が確認したところ、豊明柿ノ木から半田石塚までは、何かしら情報がホームページ上で確認できた。対外的に情報が公表され、販売やリースなど、そうした情報が提供されていたが、蒲郡海陽については、私のほうでは、ホームページ上で情報が確認できなかったので質問する。
16ヘクタールと一番大きいこともあるので、未成宅地の欄にある蒲郡海陽について、改めて、取得の経緯と現在の整備状況、令和6年度の検討状況も含めて、まず尋ねる。
【理事者】
蒲郡海陽地区については、ラグーナ蒲郡の施設運営を行っていた第三セクターの蒲郡海洋開発株式会社が、平成24年度に債務超過となり、主要株主の愛知県、蒲郡市、トヨタ自動車株式会社で協議を重ねてきた。
協議の中では、県がラグーナ蒲郡東側未利用地及び臨港道路用地として土地を取得することや、蒲郡市がラグーナ蒲郡地域内における土地の固定資産税及び都市計画税の相当額をラグーナ蒲郡の新たな運営会社へ交付する措置などが話し合われ、合意に至った。
この協議が整ったことを受けて、蒲郡市から企業庁に対し、ラグーナ蒲郡東側未利用地を商業施設として開発するよう要請があったことから、平成26年10月に開発を決定し、約16ヘクタールの土地を40億円で取得したものである。
【理事者】
整備状況であるが、企業庁において、商業施設用地として整備するため、平成30年度と令和2年度に地区内の道路や排水施設などの予備設計を実施してきた。今後、企業による土地需要を見極めていくことに加えて、現在、建設局において調査設計を進めている国道23号蒲郡バイパスからのアクセス道路となる都市計画道路大塚金野線などの進捗状況を注視して、蒲郡市や関係機関と情報の共有に努めながら、具体な土地利用計画の作成に向けた準備を整えていく。
【委員】
2014年に取得なので、11年が経過したところかと思う。
今、商業利用のために企業を当たっている、模索しているということであった。そのために重要なアクセス道路となる都市計画道路の大塚金野線が出てきた。この11年間、本会議、委員会等々で、蒲郡海陽地区については何度か質問が出て、蒲郡をはじめとした三河地域でにぎわい、それから雇用を創出する上で大変重要な企業庁の16ヘクタールであるという答弁がなされているように見てきた。先ほど建設局において調査設計を進めている大塚金野線がカギであるということだが、令和6年度に事業化が決まったと確認した。
あわせて、それがどれぐらいで実際に開通するのかという見通しであるが、山間地であり、トンネルを掘る必要があることと、JR東海の新幹線の下を通さなければいけないことで、どんなに早くても10年以上かかるということであった。
取得から既に11年がたち、まだ企業庁の中で具体的な設計に至っていない。さらに、アクセス道路が10年以上はかかるので、事業化、開発決定はしたが、実際に造成に至るまでは、まだこの先10年以上かかる状況かと思う。
名豊道路が一部開通し、御津金野インターチェンジからこの当該地まで下りてくるようなアクセス道路と認識しているが、ある意味、アクセス道路の件は見通しが立ったけれども、その見通しがあまり芳しくない状況のように感じる。そのような中で、これからこの宅地をどうしていくのかと蒲郡市から強い要望があって、これは商業施設用地として開発してほしいとのことであるが、先ほども話があったAIとかグリーン関係という、周辺を取り巻く環境は大分変わってきているので、このまま、いわゆる商業地として検討されていくのか。その辺りの今後の検討状況はどうか尋ねる。
【理事者】
蒲郡海陽地区については、中高一貫である海陽学園をはじめ、企業の研修施設、高級リゾートホテルなどが立地したことに加え、近隣の豊川市には大型ショッピングセンターが開業し、来月には岡崎市にアウトレットモールの開業が予定されており、この地域を取り巻く状況は大きく変化している。
しかしながら、これまでにも企業から、同地区へのアクセス道路の整備が進めば、進出を検討できるとの話も聞いていることから、企業庁としては、今後も広域集客が可能な商業系企業の誘致に努めるとともに、あわせて、既に立地している施設との調和が取れ、この地域の発展に貢献できるような、幅広い業種も対象にして、立地の可能性を探るなど、商業系コンサルタントの意見も参考にして、地元、蒲郡市との調整を図りながら、企業誘致活動を行っていく。
【委員】
今の話の中で、当然商業系の施設の利用が念頭にあると思うが、幅広い業種も対象にということであった。
先ほどもアクセス道路のことを述べた。10年以上かかるということなので、周辺の商業環境も変わっていくし、新産業も生まれてくるので、地域の雇用も発展の一つに大きく寄与できるかと思うので、幅広い業種でぜひ検討するほうがいいのではないかと述べ、質問を終わる。
【委員】
私からも、用地造成事業で、令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書17ページから、未処分宅地に関連して質問したい。
先ほど委員の質問の回答で、臨海用地については、売却が進まない時期もあったが、最近は広大な土地を求める企業からのニーズが高まっている、着実に企業誘致を進めているということだった。
そういった中で、この未処分宅地をどのような企業に売却していくのかということで、用地活用法というか、ジャンルをこれからどうしていくといいだろうという視点で、例えばだが、再生可能エネルギーだとか、昨今言われているデータセンターだとか、または水素の開発拠点だとか、様々あると思うが、こうした企業誘致活動の企業の誘致の幅のようなものをどう考えているのか伺いたい。
【理事者】
未処分用地の多くが残っている臨海用地などでは、立地できる企業の業種の幅をさらに拡大していくことが重要である。
これまでも、企業庁では、臨海用地において、新たな業種や新たな産業の立地ニーズに合わせ、港湾法に関連する条例に基づく用途規制の緩和を関係機関に働きかけ、立地要件を整えることで、企業庁用地へ立地できる企業の対象を広げてきている。
具体的には、太陽光発電設備の設置が認められていなかった田原4区において港湾管理者と協議を行い、再生可能エネルギー発電設備の立地を可能にした実績もあるので、今後もその時々の社会ニーズに合った、様々な業種の企業などを柔軟に取り込むことを常に検討していく。
また、内陸用地においても、市町村が決定する地区計画において、建物などの用途を製造業や物流業に制限しているが、今後は、例えば、現在、需要が急速に高まっているデータセンターなどを念頭において、市町村の意向も確認した上で、地区計画に情報通信業を加えることなどを検討していきたい。
【委員】
私の選挙区の弥富市においても、企業立地、造成事業がされているが、やはり新しく工業用地を造って開発が進められても、ほとんどが大型の物流倉庫ばかりで、なかなか代わり映えしないなと、企業が張りついてもらうことはもちろんありがたいことだが、やはり雇用だとか、その町の活性化などの視点を考えると、新たなジャンルの視点というのも必要になってくると思うので、そういった企業の幅を広げてもらって、地域にさらに活力が生まれるような造成をすることを要望する。
続いて、水道事業会計について、令和6年度愛知県公営企業会計決算書20ページから質問する。
県営水道の会計は、約6億円の黒字を計上している。安定した経営をすることは大事だし、黒字は決して悪いことではないと考えている。
しかしながら、私が常日頃から思っている問題点が一つある。何かというと、県内においての水道料金の格差がある点である。愛知県の水道は、料金を統一で平等に販売されていて、平等という観点からも、これは一定の理解が得られているものだと思う。しかしながら、まず最初に1点確認するが、県内の水道事業、一般家庭の料金で、高いところと最も安いところはどのぐらいの差があるのか教えてほしい。
【理事者】
毎年公表されている愛知県の水道年報によると、令和5年度末時点で、口径13ミリメートル、月間30立方メートルを使用した場合で、最も高いのは、海部南部水道企業団の5,808円、最も安いのは、豊橋市の2,519円となっている。
【委員】
約2倍強の差がある状況と聞いた。
本当はもっと高いところ、南知多町などは、南知多町が繰入れして、本当はもっと高いが、助成されて、少し安く設定されていると聞いているので、現実的にはもう少しあると思うが、やはりこれが2倍以上の差がある。水道というのは、我々のライフライン、大事な点であるので、ある程度、広域な部分で同じというのが、私はよいのではないかと個人的には思う。
そういった中で、先ほどの約2倍ある格差というのを、どうやったら公平に、この公平というのは、個々の差を、ある程度ハードルを、足並みをそろえて支援することによって、結果の平等を生もうという観点であり、ある程度の広域化をやっていくのが一つの道なのかと考える。
そこで、愛知県水道広域化推進プランというのがあるが、その取組状況を教えてほしい。
【理事者】
愛知県水道広域化推進プランを具体化するため、建設局が昨年8月に、矢作川流域上下水道広域連携協議会、これは仮称であるが、この準備会を設立して、地元の10市町とともに、企業庁もこれに参画して、水道広域化の実現に向けて検討を進めている。
【委員】
こうした準備会をどんどん他地域にも広げてほしいが、そういった考えはないのか伺う。
【理事者】
先行して検討が進められている西三河地域の状況について、ほかの地域の市町村からも注目されている。今後、東三河地域や尾張地域においても、西三河地域と同様に具体的な取組を展開していけるよう、市町村の意向を踏まえながら、建設局と密に連携して、取り組んでいく。
【委員】
最後に一言述べて終わるが、ぜひともこの西三河で話を取りまとめてもらいたいと思う。それを横展開して、どんどん県全域に広域化を進めてもらう。これが結果的には水道料金の統一につながっていくものと信じている。
やはり、水道はライフラインの大事な部分であるので、料金が違うと、もう少し安くしろという市民の声が届いてしまう。ほかの市町村の料金などを調べられると、どうしてそんなに差があるのかと、私も説明を求められる。
そのような中で、高い市町村が何も努力をしていないわけでもないと思う。これは、ただ立地条件によって、この料金の差が生まれてしまうものであり、公平性を保つために我々は努力していかなければいけないものだと思うので、企業庁にもぜひ尽力してほしい。
【委員】
私からも水道事業会計について伺う。
令和6年度愛知県公営企業会計決算書19ページ及び令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書8ページの関係で、令和6年10月に水道料金が引き上げられている。また、令和8年4月にも水道料金の引上げが予定されているが、改定の内容と改定理由はどのようなものか教えてほしい。
【理事者】
まず、水道料金は、減価償却費などの資本費を回収するための基本料金と、維持費を回収するための使用料金がある。
今回の改定は、電気料金の高騰や物価上昇に伴い、維持費が増加し、令和5年に経常損失が見込まれたため、令和6年度から令和9年度の4年間の料金算定期間における累積損失解消を目的に、維持費を回収する使用料金のみとし、平均改定率5.6パーセントの改定を行ったものである。
なお、県民生活への急激な影響を緩和するために、二段階での改定とした。一段階目を、令和6年10月1日に使用料金を1立方メートル当たり26円から2円値上げして28円に、二段階目を、令和8年4月1日より4円値上げして32円として改定を行うものである。
【委員】
まず、水道料金の改定により当面の経営はどのように進めていくのか伺う。
【理事者】
令和8年4月に二段階目の料金改定が予定されているので、令和9年度の料金算定期間中までの当面の経営については、健全な経営を保つことができると見込んでいる。
なお、今後、収益面では、人口減少による給水量の減少により、給水収益は徐々に減少すると見込んでいる。一方、費用面においては、地震対策や老朽化施設更新、水源施設の開発などの実施に伴う減価償却費の増加や物価上昇による維持費の増加により費用の増加が見込まれるので、経営状況は徐々に厳しくなると見込んでいる。
【委員】
今の件も踏まえて確認だが、収益はある程度確保されていると思うが、水道料金の改定幅というのは抑えられなかったのか、今の物価高対策がこれだけ言われている中で、将来、水道料金を値下げできる可能性というのはあるのかについて伺う。
【理事者】
二点の質問のうち、初めの改定幅の抑制についてである。
今回の改定は、令和6年度から令和9年度の4年間の料金算定期間における累積損失を解消するものである。
改定に当たっては、受水団体には県営水道の経営状況や料金改定の必要性について説明を重ねてきた。受水団体からは、改定幅を小幅にしてほしい、改定時期を先延ばししてほしいなどの意見があった。
こうした意見を踏まえて、未処分利益剰余金を活用して、改定幅の圧縮を図り、さらには、二段階改定とすることで、県民生活への急激な影響の緩和や、料金改定の周知期間の確保に最大限配慮して、一段階目の改定時期について、令和6年4月の改定を半年延期して、10月からの改定としてきた。
それから、二点目の水道料金の値下げについての質問である。
今後の経営状況は、人口減少により給水収益の減少、それから、地震対策や老朽化施設更新、水源施設の開発、物価上昇などにより、費用の増加が見込まれる。経営状況については、徐々に厳しくなると見込んでいる。このため、水道料金の値下げを実施できる状況ではない。
引き続き、効率的な事業運営に努めていきたい。
【委員】
私からは、まず水道事業会計あるいは工業用水道事業会計における地震対策、また、老朽化対策の取組状況について伺いたい。
関連資料は、令和6年度愛知県公営企業会計決算審査意見書8ページから9ページが水道事業で、工業用水道事業が12ページから13ページである。
昨年元日に発生した令和6年能登半島地震は記憶に新しいが、上下水道施設に甚大な被害が発生した。特に、浄水場や配水池、後ほど触れるが、下水処理場に直結する管路の上下水道システムの基幹施設の耐震化が未実施であったことが理由で、広範にわたって、断水、あるいは下水道管内の滞水が発生して、復旧に長い時間を要した。
一方で、耐震化実施済みであった、先ほど述べた施設については、施設機能に重大な影響を及ぼすような被害というのは確認されなかったということで、事前防災としての施設の耐震化の効果というのが再確認、再認識された。
このため、被災すると、広範あるいは長期的に影響を及ぼす上下水道システムのいわゆる急所施設の耐震化を全国的に早急に進めることが必要だといわれている。
水道管路についてだが、これは高度経済成長期に多く敷設されていることから、これらの多くは耐震性が低いといわれている。全国の耐震適合性のある基幹管路の割合は50パーセントを下回る。
一方、本県はその全国値を上回っていると認識しているが、まず、水道管路の耐震化について、どのような方針に基づいて進めているのか伺う。
【理事者】
県営水道管の総延長は、令和6年4月1日現在、約817キロあり、そのうち耐震性がない管延長は約145キロメートルとなっている。
水道管の耐震化については、計画期間を令和12年度までとし、計画延長を70キロメートルとする老朽化施設更新計画に基づき、計画的に耐震管への取替えを進めている。
この計画では、水道管の使用年数の限度を80年程度とし、水需要動向を考慮したダウンサイジングや事業量、事業費の平準化を考慮しながら、緊急輸送路に埋設された耐震性のない管路などを優先的に取り替えることとしていて、令和6年度は5.3キロメートル、累計で16.4キロメートルの更新を行っている。
【委員】
この計画だが、令和5年度に中間点検というものをして、工事計画の調整を行っているが、いわゆる計画の進捗の遅れを取り戻すために、どのような取組を行っているのかを伺う。
【理事者】
管路更新事業のスピードアップを図るため、従来の設計・施工分離発注方式に加え、令和5年度末に設計・施工一括発注方式を導入した。
この方式は、管路工事に関する詳細設計と施工を一元化することにより、施工者の視点から見た現場条件に適した設計となるほか、設計から施工へのスムーズな連携や資材の先行発注などにより工期の短縮が期待できるものである。
この方式により令和6年度末までに7件の工事を発注している。
【委員】
これから計画目標の達成に向けて、今ほど説明のあった工期短縮が期待できる設計・施工一括発注方式を今後どのように活用していくのか伺う。
【理事者】
県営水道における設計・施工一括発注方式については、令和5年度末に導入し始めた初期段階のため、現状、工事の難易度が比較的低く、規模の小さいものを対象として進めている。
同方式により発注した工事の実施状況の確認や施工者へのヒアリングを行いながら、今後、より難易度の高い工事への適用や工事規模の拡大について検討していく。
こうした検討を進め、設計・施工一括発注方式のさらなる活用も図りながら、管路更新の計画目標の達成に向けて検討を進めていく。
【委員】
目標達成に向けて、前広に取組を進めてもらいたい。
続いて、今は耐震化だったが、老朽化についても、全国の水道管で大変深刻な社会問題となっている。特に、全国津々浦々、地方自治体では財源不足はもとよりだが、人材の確保が難しい状況があるので、更新が追いつかない地域も少なくないと承知している。
そうした中、水道管の点検管理に人工衛星などを使って、いわゆる先端技術を使っている、導入している自治体が相次いでいると承知している。人手不足が進む一方で、老朽化などが招く漏水事故というのは多発していると承知しているが、管路調査の効率化とリスクに応じた迅速な更新というのは喫緊の課題だと思う。
そこで伺うが、水道管の劣化状況の把握において、デジタル技術や最新技術を活用しているのか伺いたい。
【理事者】
水道管の劣化状況の把握について、目視確認が困難な大規模水管橋には、令和3年度からドローンによる点検を実施しており、また、地中埋設管路には、令和4年度からの3か年で、AIを活用した管路劣化度診断を実施した。
引き続き、最新技術やデジタル技術を駆使し、省力化を図りながら、効率的に水道管の劣化状況の把握に努めていく。
【委員】
率先して先端技術を導入することを期待したいが、先ほども触れたが、専門家の育成も同時にしっかりやってもらいたい。これまで水道管の維持管理に当たっていた技術者の知見というのは大きいと思うので、それと、先端技術の一体運用というのがあるべき姿だと思うのでお願いしたい。
続いて、令和6年度事業報告7ページから8ページ、西三河地域の上下水道一本化について伺いたい。
先ほども少し広域化ということで触れられていたが、本県内で、近年複数の自治体が水道料金の値上げに踏み切っている。
先ほども答弁にあったが、人口減少に伴う料金収入が減る一方で、老朽化が進む施設の更新、耐震化も待ったなしの状況で、厳しい経営状況を打開するために、上下水道事業を複数の自治体で一本化するという取組も検討されている。
具体的には、西三河地域の市町の上下水道事業の一本化に向けた協議を進めていると承知しているが、この一本化について、令和6年度においてはどのような取組を行ったのか伺いたい。
【理事者】
矢作川流域上下水道広域連携協議会(仮称)の準備会であるが、昨年8月7日に設立以降、令和6年度末までに4回開催されている。今年度は2回開催されているので、これまでに計6回開催されている。
この準備会では、県と市町で連携しながら、水道の広域化、上下水道の一本化で期待される効果とか、基本方針案の検討を進めている。
【委員】
これから具体化がされていくと思う。
私は知立市選出だが、知立市を含む岡崎市、安城市、西尾市、豊田市で、給排水工事オンライン申請システムというのが、今年の4月から運用開始していて、これは豊田市が提案したものに、最終的に残りの4市が賛同したものだが、当然ながらシステムの重複投資が回避され、コストが低廉化された。初期で35パーセント、経常で61パーセントというから、相当大きなコスト軽減につながった。言うまでもない事務の効率化などの効果が発現された。
これ一つ取っても、やはり広域化、一体化というのは大変メリットが大きいと思うので、先ほども触れられていたように水道料金の平準化も含めて、一体化、広域化のメリットが最大化されるように、協議をしっかり進めてほしい。





