本文
総務企画委員会審査状況(令和7年10月8日)
総務企画委員会
委員会
日時 令和7年10月8日(水曜日) 午後0時58分~
会場 第8委員会室
出席者
神戸健太郎、朝日将貴 正副委員長
水野富夫、藤原ひろき、辻 秀樹、今井隆喜、増田成美、長江正成、
森井元志、朝倉浩一、黒田太郎、木藤俊郎 各委員
政策企画局長、企画調整部長、国際監、ジブリパーク推進監、
総務局長、デジタル戦略監、総務部長、財務部長兼財政課長、
人事局長、人事管理監兼人事課長、
会計管理者兼会計局長、同次長、
監査委員事務局長、同次長、
人事委員会事務局長、同次長兼職員課長、
議会事務局長、同次長、関係各課長等
委員会審査風景
付託案件等
議案
第132号 令和7年度愛知県一般会計補正予算(第4号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳入
第4条(県債の補正)
第135号 愛知県公告式条例の一部改正について
第155号 教育委員会の委員の選任について
結果
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第132号及び第135号
全員一致をもって同意すべきものと決した議案
第155号
請願
第 25 号 「『消費税5%引き下げを求める意見書』採択を求める」について
第 26 号 「『インボイス制度廃止を求める意見書』採択を求める」について
結果
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第25号及び第26号
閉会中継続調査申出案件
- 行財政について
- 国際交流の推進について
- 地域振興について
- 地域及び県行政の情報化の推進について
- 防災対策及び安全なまちづくりの推進について
- 政策企画局、総務局、人事局、防災安全局、会計局、選挙管理委員会、監査委員及び人事委員会の行政運営について
会議の概要
- 開会
- 議案審査(3件)
(1)理事者の説明
(2)質疑
(3)採決 - 請願審査(2件)
- 委員長報告の決定
- 一般質問
- 閉会中継続調査申出案件の決定
- 閉会
主な質疑
議案関係
【委員】
今回の9月補正予算においては、財源のうち5割以上を県債が占めていることを踏まえて、第132号議案の一般会計補正予算第4号のうち歳入、先ほど説明があった第15款県債に関連し、その発行について伺う。
道路整備や河川改修などの社会基盤整備を行う際は、県債を活用することにより財源を確保するとともに、財政負担を後年度に平準化できるため、世代間の負担の公平化を図ることができる。一方で、後年度に平準化された財政負担は元金と利子として毎年度支払う必要がある。とりわけ利払い費については、県債の金利によって増減するため、金融資本市場の状況が大きく反映される。
そこで、金融資本市場の動向に目を移してみると、国債の金利については2024年3月のマイナス金利政策解除によって金利のある世界となって以降、上昇傾向にある。特に2025年4月以降は米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクなどにより、金利は上下の変動を伴いながら大きく上昇していて、新発の10年物の金利はおおむね1年前の昨年9月末時点で0.858パーセントであったものが、今年9月末時点で、1.635パーセントまで上昇しているところである。
そこでまず、こうした国債の金利動向は県債の金利にどのような影響を与えているか伺う。
【理事者】
本県が発行する県債を含め、市場で公募する地方債の発行利率は、国債を基準として決定されているため、国債の金利上昇に伴って、本県の県債の利率も上昇傾向にある。本県発行の10年物の満期一括償還方式の県債の利率は、昨年9月に発行した際には1.037パーセントであったが、この9月に発行した際の利率は1.761パーセントまで上昇している。
【委員】
国債と同様に県債の利率も上昇しているとのことであるが、こうした利率の上昇が、公債費のうちの利払い費にどの程度影響するのか伺う。
【理事者】
県債の利率の上昇は、新たに発行する県債の利払い費に影響する。具体的な影響額は県債発行額の規模により異なるが、例えば、10年物の県債を100億円発行する場合の利払い費について、先ほど答弁した昨年9月と今年9月に発行した本県債の利率により試算すると、利率は先ほど説明したように1.037パーセントから1.761パーセントへ0.724ポイント上昇しているので、1年当たりの利払い費は7,240万円増加することになる。
なお、県債は固定利率で発行しているので、過去に発行した県債の利払い費に影響はない。
【委員】
県債の金利上昇に伴う公債費への影響は少なくないものの、県民生活や経済活動を支えるためには引き続き県債を活用して社会基盤整備の財源を確保していく必要があると思う。
国債金利が上昇する中で、できる限り金利上昇の影響を抑えながら、安定的かつ確実な資金調達を図るため、県としてどのような取組を行っているのか伺う。
【理事者】
県債の発行に当たっては、需要と供給の偏りによる一時的な影響を抑えるために、発行時期の平準化や発行年限の多様化に取り組むほかに、発行時期、年限等をあらかじめ特定しない発行枠である、フレックス枠という枠を設けて、市場環境に応じて機動的に活用するなど、発行の柔軟化に取り組んでいる。
加えて、金利水準の高さよりも愛知県債に対する高い評価を優先する投資家の需要を多く集めることが金利上昇を抑えることにつながるので、本県の強固な産業基盤や行財政改革の取組による財政の健全性などについて投資家に対して説明するインベスター・リレーションズ、いわゆるIR活動をこれまで以上に積極的に行っている。今年度は9月までに昨年度同時期よりも13件多い過去最多の40件を実施している。
また、今後の起債運営については、金利が上昇する中でも資金調達を安定的かつ確実に行うために、投資家層の幅を広げ、愛知県債に対する需要を多く集めることがより一層重要になるものと認識している。このため、IR活動を引き続き積極的に進めるとともに、発行時の丁寧な対話など、投資家との信頼関係の構築に努めることによって、愛知県債に対する評価を高めていけるよう取り組む。
【委員】
金利が上昇傾向にある中でも県民生活や経済活動を支えるためには引き続き県債を活用して、社会基盤整備の財源を確保していくことが不可欠である。こうした中で、県が安定的に資金調達を行うことが今後ますます重要になる。このため、金融資本市場の動向も踏まえて適切に対応し、県債による確実な資金調達が行えるよう、引き続きしっかりと取り組んでもらうことを要望する。
【委員】
第135号議案愛知県公告式条例の一部改正について伺う。
先ほど総務部長から、地方自治法等の一部改正により条例の公布に係る知事の署名の方法に電子署名が追加されたことに伴い、知事の署名に関する規定を整備するとの説明があった。
議会で議決のあった条例を公布するための手続については地方自治法で定められていることは承知しているが、まず今回、愛知県公告式条例を改正することになった背景及び条例改正の内容はどのようなものか伺う。
【理事者】
条例を公布する際には、改正前の地方自治法第16条第4項の規定により、首長自らが紙に署名、いわゆる自署することが必要とされていた。愛知県公告式条例は地方自治法に基づき、条例の公布に関し必要な事項を定めたものであり、第2条において条例を公布しようとするときは、公布の旨の前文及び年月日を記入してその末尾に知事が署名しなければならないと規定している。
こうした中、地方分権改革に関する提案として、本県はじめ27自治体から国に対し、首長による自署以外の方法を可能とするよう提案を行った結果、本年5月に地方自治法及び同法施行規則が改正され、従来の紙への署名に加えて、電子署名が可能になった。
そこで、この度、公告式条例を改正し、電子署名の方法を可能とするものである。
【委員】
現行の制度では知事が紙に署名していることになるが、条例を公布する際の知事の署名について、現在どれくらいの署名件数があるのか伺う。
【理事者】
条例の公布に係る署名については、同じ日に公布する条例についてまとめて1枚の署名用紙に署名する方法としており、昨年の6月定例議会から本年の6月定例議会までの1年間で72件の条例について、計6件の署名を行っている。
【委員】
今の答弁では同じ日に公布する条例は、まとめて署名を行っているとのことであり、知事による署名の件数は最近1年間で6件と多いものではない。こうした中で電子署名をできるように選択肢を増やす今回の条例改正により、どのような効果、メリットがあるのか伺う。
【理事者】
条例公布に係る署名の方法について、電子署名が選択可能となったことにより、例えば災害時や感染症蔓延時などで知事が登庁することが難しい事態が発生した場合においても、電子署名を選択することにより、条例の公布手続を行えることがメリットであると考えている。
【委員】
我々議会が議決した条例が県民に周知され、効力を生じさせるため重要な手続である条例の公布について今後も確実かつ適切に行ってもらいたい。
請願関係
なし
一般質問
【委員】
先ほど委員から金利上昇の局面における資金調達について質問があったが、同じく金利上昇の局面における、県の債券運用について三点伺う。
まず一点目、県は満期一括償還分の減債基金において債券運用を行っているが、債券運用の残高を伺う。
【理事者】
満期一括償還分の減債基金においては、県債の満期一括償還に備えるため、総務省の定めたルールに基づいて積み立てた分を原資として、地方債等の債券による長期運用を行っている。2024年度末時点で運用している債券の残高は7,907億円となっている。
【委員】
二つ目、金利が上昇している中で、新たに購入している債券の運用利率は昨年度と比べてどう変化しているか伺う。
【理事者】
運用している債券の中で最も割合が多い10年債において、2024年度に購入した債券の平均利率は1.043パーセントであった。今年度は9月末までに購入した債券の平均利率は1.617パーセントであって、昨年度と比較すると0.574ポイント上昇している。
【委員】
三つ目、現在の金利上昇局面において、大きな方針を持って債券運用を行っていると思うが、その方針を伺う。
【理事者】
満期一括償還分の減債基金では、将来にわたって各年度に満期を迎える債券の残高が一定となるように投資するラダー型運用という手法により運用している。この手法により運用することで、毎年度一定額の債券が満期を迎えて、その資金を新たな債券の購入に充てることができることから、金利の上昇、下降といった変動リスクを平準化して、長期的に安定した運用益を確保することができる。
なお、ラダーとははしごの意味であって、こうした運用を視覚的に分かりやすく説明するために、グラフの横軸を年度、縦軸を各年度に満期を迎える債券の残高という棒グラフで表すと、毎年度同じ高さの棒グラフが並んで、はしごを横にした形状となることからラダー型運用と呼ばれるものである。
現在金利は上昇傾向にあるが、今後10年、20年の間に経済情勢の変化によって再び金利が下降傾向となる可能性もあり、こうした長期的な金利変動を予測することは困難である。
このため、この手法により運用することで金利変動リスクを平準化しながら、長期的に安定した運用益を確保できるように努めている。
【委員】
最後に要望する。
地方自治法第241条第2項では、基金の運用について確実かつ効率的に運用しなければならないと規定されている。引き続き法の趣旨にのっとり、堅実な運用に努めてもらうとともに、安定した運用益を確保していくことを要望する。
ただ、これは今答弁してもらって、まさにこの法にのっとって堅実にやっていると十分に理解した。釈迦に説法かもしれないが、二点述べる。
一つは、県としての運用は相手にとっての調達になるわけである。その逆もまたしかりであり、県の調達は相手の運用になる。要するに、相手のある話であって、基本的には思わくが正反対の人とのやり取りをすることになるはずである。そうすると、こちらが思い描いているようにはいかないこともあり得る。先ほど説明があった、はしごを横にして、その高さが整うようにしていくとのことだが、こういう方針を持っていてもなかなかそういかないこともあると思う。なので、相手がある話だということを前提にして、うまくいかなかったときにはどうするのかまで考えておいてもらいたい。
もう一点。運用を行う相手は1人ではない。たくさんいると思う。相手がたくさんいることを前提にして、相手の一人一人をよく研究すると、恐らくこちらにとって都合のよい相手が見つかってくる可能性があると思う。先ほど委員の質問に対する答弁の中で、投資家との信頼関係を強調していた。これは県が運用する側であっても同じことが言えるので、よくよく市場と対話して運用してもらいたい。
【委員】
愛・地球博記念公園にできたジブリパークについて数点伺う。
今月末で2022年11月のジブリパーク開園から丸3年が経過する。私は、少し前に株式会社ジブリパークの決算公告を新聞で見た。そこでまず、運営主体である株式会社ジブリパークの収支について、ジブリパークの事業主体でもある県として把握している内容を伺う。
【理事者】
株式会社には、会社法の定めにより貸借対照表を報告する義務があり、委員が見たように、株式会社ジブリパークは同社の最新の収支状況を示す2024年度決算時の貸借対照表を2025年6月26日付けの中日新聞紙面に公告している。この貸借対照表によると、株式会社ジブリパークの2024年度の収支を示す当期純損益は約6.6億円の黒字となり、ジブリパーク開園から3年目で株主資本がプラスに転じ、2023年度まで続いていた債務超過が解消されている。全5エリアでの通期営業を初めて実施する開園3年目での債務超過解消は、約3年前に本県に示された同社の収支見込みとも整合しており、当初の計画どおり安定した経営状況を実現できているものと受け止めている。
【委員】
5エリア完全にオープンしているが、楽しみ方によっては時間がかかって、5エリアを全て楽しむのは1日では足りないとの声がある。いろいろな人の口コミや、最近はSNSでの投稿がたくさんあると思っている。
そこで、開園前、私たち県議会に経済波及効果は年間約480億円という数字が示されていたが、実際ジブリパークの入園者数などは示されていない中で、開園前と比べて、愛知県は現状をどのように見ているか伺う。
【理事者】
指摘の年間480億円という経済波及効果の値は、本県が民間調査機関に依頼し、産業連関表を用いた一般的な手法により、ジブリパーク開園に伴う消費額増加の効果を試算した結果として2020年2月に公表したものである。ジブリパークの来園者数については、株式会社ジブリパークの意向により公表されていないが、本県が当該経済波及効果を公表した際に併せて示したジブリパーク全5エリア開園後の公園全体の想定来場者数は280万人であり、昨年度における愛・地球博記念公園の推計来園者数は既にこの想定を14万人も上回る294万人に達している。
また、ジブリパーク開園後、公園周辺地域に複数のホテルやグランピング施設が相次いで立地していることや、修学旅行などで昨年度県外から71校もの学校団体の利用があり、北は北海道から、南は長崎県から来園してもらったことなどは、開園前の予想を上回るものがあり、経済波及効果の面でも順調に推移しているものと見ている。
【委員】
次に、入場チケットについて質問する。
当初から入場チケットは完全予約制で、来園者の混雑防止を目的にしていると理解していた。そして、今年の2025年の4月からチケットの体系が変更され、これまでのセット券に加えて、エリア券が新設されている。この変更によってジブリパーク5エリアの来園者の動きにどのような変化が起きたのか、現状の変化を改めて伺う。
【理事者】
運営会社からは、セット券のほかに、各エリアを個別に楽しめ、料金も手軽なエリア券を設定したことで、県内、特に地元の人々からより気軽に何度も来園してもらえるようになり、好評を得ていると聞いている。さらに、規模が小さくこれまで混雑が目立っていたエリア、青春の丘やどんどこ森の受入れ数をコントロールしやすくなったことで、各エリアに程よく来園者を分散させることができるようになり、以前よりも来園者が安全かつ快適に観覧できるようになったものと受け止めている。
【委員】
ジブリパークについて、県は必要な整備を様々なところでしてくれたと思っている。今後も愛・地球博記念公園という都市公園の中の施設として、愛知県は一定の責任を持ち、一方で、管理運営は株式会社ジブリパークが行っていくこととなる。そのような状態の中で、県と株式会社ジブリパークは協議を続けていると思う。
そこで、最近の協議内容について伺う。
【理事者】
最近の株式会社ジブリパークとの協議内容としては、夏季における来園者の熱中症対策や企画展示のリニューアルなどがあり、実際に協議を経て実施時期等を決定している。一例を紹介すると、魔女の谷では、今年4月のチケット体系見直し後、エリア券を購入した来園者向けに、オキノ邸、ハウルの城、魔女の家の当日入場券を販売しているが、連日朝早くから購入を希望する来園者の長い行列ができていたことから、協議を経て、行列解消のため購入可能時間を記載した整理券を配布する形に改めている。また、もののけの里では、開園以来、体験学習施設タタラ場において五平餅炭火焼き体験を実施しているが、気温の高い夏場は季節に沿った体験内容に変えようと、協議を経て、今年6月下旬から9月末までは来園者に石臼で大豆をひいて、きな粉を作ってもらい、そのひきたてのきな粉をわらび餅にかけて食べてもらう、きな粉づくり石臼挽き体験を実施している。
また、企画展示のリニューアルについては、展示物の状態やエリア内の混雑状況、来園者のニーズなどを総合的に勘案しながら、株式会社ジブリパークにおいて実施してもらうが、県との協議を経て、開園から満3年となるタイミングで初めてリニューアルを行う運びとなり、12月17日よりジブリの大倉庫の企画展示、ジブリのなりきり名場面展の全14コーナーのうち、半分の7コーナーを入れ替えて展示する予定である。
以上のほかにも、愛・地球博記念公園の大型イベント開催時における運営方法の変更や、公園内にイノシシが出没したときの対応など、ジブリパークの適切な管理運営を図るため、適宜公園の指定管理者などの関係者も交えながら、日常的にきめ細かく頻繁に協議を重ねている。
【委員】
最後に要望する。
答弁にあったように、今年の夏も、愛・地球博20祭に合わせてジブリパークの営業時間を変更して営業したことがあった。また、熱中症対策についての答弁もあったが、昨今の夏の暑さに対して、ジブリパークは原則5時に閉園してしまう。一方、愛・地球博記念公園の駐車場は7時まで開いているので、営業時間の変更などを、協議してもらえたらと思う。真夏の日中の暑い時間帯より、夕方の若干涼しくなった時間帯に来場してもらえるようにしてもらえたらよいと考える。エリア券の発売を行ったところ、地元からの来場者も増えたとのことなので、そういったことも考えながら、営業時間の変更も検討してもらうよう願う。
【委員】
愛知県の市町村における地方創生の取組、中でも愛知県の市町村の人口問題を通して質問する。少し前置きが長くなるが、視察に行った実例を紹介した後に質問する。
私は9月19日に岩手県和賀郡西和賀町の岩手県立西和賀高等学校を視察した。人口減少問題に取り組む西和賀町と岩手県立西和賀高等学校、この取組について聞いてきた。この西和賀町と西和賀高等学校では必死に取り組んでおり驚いた。成果も出ている。西和賀町は本年8月時点で人口が4,526人と非常に小さい町である。人口減少に苦しんでいる町である。全体の88.9パーセントが山林、原野で秋田県寄りの県境の町である。町民の交通手段はJR北上線とバスである。そのバスだが、2021年3月には民間事業者の路線バスが全廃となり、同年4月以降、町が主体で運行を維持している。路線バスの維持すら町が担っている実態があり、交通手段自体が厳しい環境にあることが見てとれる。北上線は岩手県北上市の北上駅と秋田県横手市の横手駅を結ぶJR東日本の鉄道路線である。廃止の危機に瀕しており、特にほっとゆだ駅から横手駅間の輸送密度は1日100人を割り込み、危機的状況である。この、ほっとゆだ駅から横手駅というのは、ほっとゆだ駅で高校生が降りてしまうので、そこから先が非常に乗降客が少ない。
こうした背景は、鉄道維持の重要性を町側が実感している一因と考えられる。そこで、西和賀町は西和賀高等学校の生徒が利用するこの路線を維持しようと、西和賀高校魅力化支援補助金を設けて、高校の存続に協力する方針を打ち出した。人口4,526人の西和賀町の一般会計予算71億9,000万余円のうち、何と補助金として年間2,000万円が計上されている。このことは高校の存続がそのまま町の存続となるという意識が感じてとれる。
西和賀高校魅力化支援補助金は具体的にどのように使われているか。生徒は学校までの最寄りのほっとゆだ駅から学校までバスで15分、町内バスの利用料が無料である。高校は西和賀ふるさと留学生の事業として、全国から入学生を募集している。これは全国で最近見られる現象であり、高校生を留学生と称して全国から募集している。令和7年4月現在、西和賀ふるさと留学生は10人在籍していて、県外から留学した生徒のために、町は廃業した旅館をリノベーションして3か所の学生寮を設置した。また、運営もしていて、食事込みの寮費8万円のうち4万円を町が補助している。また、高校が行う海外派遣語学研修への補助金を町が行っている。進学のための予備校の講師による公営の塾を町が無料化して受験対策を支援している。また、高校生の模擬試験料も補助、資格取得のための各種検定料も補助、生徒の希望によって昼食のおかずを本来330円であるところを150円の負担で提供するなど、徹底して高校生の支援をしていた。
また、西和賀高等学校についてだが、習熟度授業を実施していて、一人一人にきめ細かく先生が指導実施していて、毎年国立大学にも進学する生徒が出るなどの評判が広がって、応募生徒が増え、本年は今まで1学級であったのが2学級に増えた。この実例は西和賀町が町民の利便性の高い公共交通を確保し、持続可能な交通体系の構築を目指すとともに、まさしく医療、介護、福祉、観光、地域づくり、地方創生の取組と連携し、持続可能なまちづくりを実現しようと、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律、いわゆる地域公共交通活性化再生法に基づく西和賀町地域公共交通計画として実行している政策と、西和賀高校の統廃合の危機感による両者の取組であると思っている。それは学校と町が策定する魅力化推進ビジョン、学校と町が共にビジョンをつくっているということである。
支援制度整備の背景には、過疎化、少子化により高校統廃合の懸念が暗に前提になっていると読み取れる。例えば町の西和賀高校魅力化支援事業には、単なる教育振興というより、高校の存続を視野に入れた支援という文脈が明示されている。
さて、そこで愛知県に話題を移す。
愛知県の人口は2019年の約755万4,000人をピークに5年連続で減少し、また、人口減少地域が県内全域に広がっていることから、人口問題は県全体に関わる重要な課題となっている。県は愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略2023-2027、これは愛知県人口問題対策プランだが、これを策定し、国のデジタル田園都市国家構想総合戦略も踏まえて、結婚・出産・子育て施策、地域定住、雇用促進、外国人材活用など、幅広な対応を打ち出している。また、愛知県は昨年、愛知県・市町村人口問題対策検討会議を発足させている。
そこで最初の質問だが、愛知県が令和5年に策定したまち・ひと・しごと創生総合戦略2023-2027は、県として人口問題対策を取りまとめたプランであると理解している。その中で設置された愛知県・市町村人口問題対策検討会議はどのような位置づけにあり、総合戦略の実現にどのように貢献する会議なのか伺う。
【理事者】
愛知県・市町村人口問題対策検討会議は、愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略2023-2027に示す人口問題への具体的な対策を県と市町村が連携・協力して検討するため、2024年5月に立ち上げたものである。特に人口減少の著しい地区を抱える岡崎市、豊田市、西尾市、新城市、田原市、愛西市、南知多町、美浜町、設楽町、東栄町、豊根村の11市町村を中心に45の市町村で構成している。本会議において検討した施策に積極的に取り組むことで、総合戦略の着実な推進や愛知県への人の流入増といった目標の達成につなげていく。
【委員】
この会議が1年たった時点での、会議で述べられた成果について伺う。
【理事者】
昨年度は、市町村から要望が多かった農林水産業の振興、地域交通の確保、空き家の活用の三つを当面の検討議題とし、議題ごとにワーキンググループを設置し、市町村と具体的な施策を検討した。その成果として、今年度から県は、農林水産業の振興では、本県農林水産業の魅力発信や新規参入を促す情報サイトとなる就業支援プラットフォームの整備、地域交通の確保では、交通空白地の解消や地域の移動手段の最適化に向けた公共ライドシェアの導入支援、空き家の活用では、移住希望者と空き家対策に取り組む市町村との広域マッチング支援といった新規の施策などに取り組んでいる。
本年度は、これらの取組の進捗管理やフォローアップなどを行うとともに、新たに地域産業の振興を検討議題とするワーキンググループを設置し、市町村からの意見も踏まえ、事業承継や人材確保支援について、具体的な施策を検討している。
【委員】
先ほど紹介した西和賀町の例だが、岩手県内で少子化が加速していく中で新しい高校再編計画が必要となった。愛知県も一緒だと思う。東日本大震災による凍結期間を経て、平成26年にその計画策定に着手した。その中で、高校の本来の適正規模は4から6学級とされていたが、岩手県は西和賀高校をはじめ、県内の3校については交通アクセスの問題や地域事情などから、たとえ1学級になったとしてもこれらの地域には高校が絶対に必要だと特例校という扱いにしたとのことであった。岩手県も、相当努力をして地域を守ろうとしている姿勢がうかがえる。この例が示すのは、基礎自治体が抱える地方創生人口減少の流れの中で、地域の県立学校の存続が大きな起爆剤になった例である。高校が潰れると町も潰れるぞという危機感である。愛知県内の取組においても、県が地域に入って、知恵を絞って、同じ目線で地域が抱える課題に取り組む自治体の支援事業をサポートしてもらいたい。
そこで質問だが、本年度のこの件に関する愛知県の予算については、3億8,771万1,000円と承知しているが、検討会議での協議成果や市町村の実際の取組にどう結びついているのか伺う。例えば補助金、人材支援など、現場への具体的な支援策はどのように展開されているのか伺う。
【理事者】
本県の人口問題については、庁内各局が市町村と連携し、施策に取り組んでいる。このうち補助事業では、バス運行対策費補助金の補助要件を見直すことで、南知多町の海っ子バスなど6路線が新たに補助対象となった。
人材支援策では、公共ライドシェアの導入支援として、地域で移動手段を確保することへの合意形成を促すため、地域で開催されるワークショップ等において、専門的知見から助言を行うコーディネーターを岡崎市、田原市、設楽町に派遣している。
また、農林水産業の新規参入のための就業支援プラットフォームの整備は、就業希望者に対する相談支援体制を強化するため、スマートフォンからのアクセスを主体としたオンラインプラットフォームを整備するもので、市町村や農業協同組合(JA)とも情報の連携を図りながら、利用者ニーズに沿った実効性のあるシステムとなるよう開発を進めている。
さらに、移住希望者と空き家対策に取り組む市町村との広域マッチング支援は、移住希望者が市町村を限定せず、広域で県内の空き家を探すことができるよう、専門家と連携した相談窓口を設置するもので、移住者の希望条件に合う市町村に情報を提供することで、各地域の空き家対策につながるよう取り組んでいる。
引き続き、人口減少の著しい地区を抱える市町村などと連携、協力して人口問題対策に取り組んでいく。
【委員】
最後に要望だが、今日紹介した市町村は人材面にしても財政面にしても、そう強いわけではない。しかし、抱える問題は非常に大きい。なので、県と一緒にやっていくことが大事である。
もう一つは、市町村が抱える問題は、その市町村を含むエリアが抱えている可能性があることから、なおさら県がそこに関与して、一緒に考えていくことが大事である。今紹介したように、これは高校における取組が一つの切り口になった例だが、県が県立高校の存続をしっかり考えていることもうかがえた例である。西和賀町の存続を支えていることがよく分かった例であった。県と市町村は一体であり、市町村が抱える問題は県の問題だということを感じた視察であった。
そういう意識で、この会議を中心として、しっかりと愛知県の人口問題、また、地方創生の問題に尽力をしてもらいたい。
【委員】
ジブリパークができて3年たって、5エリアのオープンを完了し、目標であった黒字も達成し、6.6億円の黒字となった状況である。
改めて、そもそもこのジブリパークを愛知県が整備する趣旨や目的について伺う。
【理事者】
ジブリパークは愛・地球博記念公園に愛・地球博の理念と成果を継承する施設として構想した。当時、愛・地球博記念公園、かなり来園者数が減っていて、平日に行くと来園者が少なく閑散とした状態であった。ある程度どこの公園も似たような状況であるが、やはり愛・地球博の会場地であった愛知県の代表的な公園の状態としては、少し寂しい状態であった。そうした中で、愛・地球博の理念と成果を継承するものとして、何が一番ふさわしいのか検討する中で、大村秀章知事が先頭に立ってスタジオジブリと話をした。その結果、スタジオジブリにも協力を得られる運びになった。スタジオジブリの作品は、生き物や愛を大切にしていくメッセージが込められており、万博の理念とも通ずるところがあると考えた。そして、スタジオジブリの作品の世界を体験できる施設を造っていこうとなり、県民、それから全国から訪れてもらう施設にしたいと構想した。
【委員】
このジブリパークの議論をしていく中で、経済波及効果の話もあった。答弁の中で、想定よりも遠いところからの来園者もいた。
また、さらに伺うが、愛知県としての観光の魅力向上という部分も整備の目的に入ってくるのか。
【理事者】
もちろん観光も一つの目的と考えている。ジブリパークに客が来てもらえることは、私たちとしては、当初の目標を結構実現できていると思うが、観光面で考えると、ジブリパークに来て、そのままどこも立ち寄らずにとんぼ返りされてしまうと、愛知県としてはあまりメリットがうまく生じてこないことになる。この辺は観光コンベンション局とも連携して、ジブリパークに来た後に愛知県に泊まってもらうことや、それから県内のいろいろな観光スポットに立ち寄ってもらうような努力を一生懸命していこうと取り組んでいる。
【委員】
また、海外では日本のアニメの文化がクールジャパンとして広く認められていて、ヨーロッパでも日本のアニメに憧れ、日本語を学ぶ流れも出てきている。
そのような状況の中、このジブリパークの来園者の想定に、インバウンドが想定されているのか伺う。
【理事者】
インバウンドの想定については、ジブリパークの構想を練っている段階で、全国の美術館やテーマパークなどのインバウンド比率を調べた。そうしたところ、大体10パーセント、来園者の中の1割程度がインバウンドとなる傾向が見てとれたので、私たちも、まずはそこを目標にしていた。現在は、まだ国内からの来園者にかなり人気の状態で、チケットがよく売れている。国内からの来園者は土日が中心になるので、まずは土日に国内からの来園者をきちんと受け入れて、平日を中心にインバウンドを受け入れようとしている。
大体平日が2割を超えるインバウンド比率であり、全体平均すると大体2割ぐらいがインバウンド比率である。
【委員】
答弁にあったように、観光コンベンション局との連携も必要であるし、インバウンドの部分においては、来年アジア競技大会が開催される中で、アジア全域から愛知県に外国人が訪れることを想定したときにどういった連携をしていくのか、そもそも連携するのかは今後詰めてもらいたいし、横断的なことになると思う。観光の部分は観光コンベンション局で取り組むであろうが、ジブリパークに行ったときに、他の都道府県のナンバーの車を多く見る。しかし、そこで終わりではなくて、もちろん愛知県全域を観光して回ってもらいたい、愛知県の魅力を再認識してもらいたい、また、リピーターになってもらいたいと思う。そのため、横断的な連携も視野に入れてほしい。
要望となるが、アジア競技大会を含めた今後に向けて、様々な横断的な取組を期待している。





